ラグビーワールドカップ2003オーストラリア大会予選プールB組
2003年10月18日月曜日
Townsville Daily Farmers Stadium 収容客数26,500人(テレビ観戦)
51 - 29 France勝利
大金星を狙うJapan
Japanは12日のScotland戦から先発8人を入れ替えた。大幅変更の裏にはこの一戦にとどまらず、Fiji、America戦を踏まえた首脳陣の思惑が透けて見える。
この試合、SH苑田右二とSOアンドリュー・ミラーのHB団を初めて先発起用。CTBも総入れ替えした。初戦の健闘をもたらしたのは、SH辻高志、CTBルーベン・パーキンソンらの防御力だったことを考えると、冒険だが、Scotland戦の後半途中から出場した苑田右二、アンドリュー・ミラーに先発のめどがたち、CTBジョージ・コニアらとの連係がかみ合えば、チームとして今後の展望が開けてくる。初戦でつかんだチームの勢いをつなぐためにも、集中力の高いプレーを続けることが求められる。初戦でトライにつながったサインプレーは、W杯でも十分通用することが証明された。それを使える展開に持ち込むためには、Scotland戦と同様、ラインアウトの安定と、HB団が作る速いリズムが鍵を握る。
先を見据えたFrance
Franceは決定力のあるWTBクリストフ・ドミニシ、オレリアン・ルジェリーらは残ったが、Fiji戦から先発が6人入れ替った。1次リーグを戦い抜く上での新しい戦力発掘がもう一つのテーマになる。その期待の中心が、NZ出身のCTBトニー・マーシュの初先発だ。
トニー・マーシュの持ち味は186cm、97kgのパワーを生かした突破。テストマッチ12試合で6トライを挙げている。伝統のひらめきに個々の強さを組み合わせた攻撃ラグビーを目指すベルナール・ラポルト監督の「秘蔵っ子」だ。
必死の防御 Japan、強豪相手に好ゲーム
Scotlandを追い詰めたJapanが、今度は前回準優勝のFranceを苦しめた。強豪相手に2試合続けての好ゲームだ。
先発8人が変わっても、Scotlandが嫌がった防御は揺らがない。相手の倍近い142もタックルを繰り返し、成功率は相手を上回る80%。夏までのJapanのように、大崩れすることはついになかった。
タックルに入る時の前へ出る勢い、気持ちが違う。ボールをつながれることを恐れる前に、低く入って動きを止めた。さらに、2人目が素早くダブルタックルに入って、Franceに球出しのリズムを作らせない。
前半30分過ぎ、自陣でじわじわと押し込められながら、LOアダム・パーカーのタックルでボールを奪い、相手の反則で敵陣へ。「一発のサインでトライする切れ味は、Japanが上回っている」。試合前日の向井昭吾監督の言葉通り、このラインアウトからの一次攻撃でCTBジョージ・コニアのトライが生まれた。
必死の防御は、冷静な試合運びを可能にした。FB栗原徹のPGで前半終了直前に4点差、後半5分には1点差まで迫った。しかし、ここまで。その後の競り合いの時間帯にトライを奪えず、結局はこの日も後半半ば過ぎに突き放された。29-51 で逆転負け。2連敗となった。29点はJapanの対France最多得点。Franceは2連勝。
2連敗で1次リーグ突破には、もう後がない状況。この日は2トライをあげたものの、まだ試合の主役は攻撃ではなく、防御だった。残りは2試合。善戦止まりでW杯を終わらないために、次こそ「スピードアタック」の実践が目標になる。