2023年7月22日土曜日
北海道 札幌ドーム 観客数22,063人(テレビ観戦)
24 - 22 Samoa 勝利
リーチが”地元”に凱旋
札幌ドームでの代表戦は、日本ラグビー史上初めて。しかも、サモア代表はワールドカップで予選プールDの同組だけに、この”前哨戦”は22,063人のファンの目の前でしっかりと勝利を掴む姿を見せなければならない。
強化試合と位置づけられた前の2試合とは違い、このサモア戦は国の代表同士の真剣勝負のテストマッチ。負ければもちろん、世界ランキングにも影響する。しかも、札幌山の手高校出身のリーチ マイケル(No.8ナンバーエイト/東芝ブレイブルーパス東京)にとっては、まさに「第2の故郷」で戦う初めての凱旋試合だった。
W杯で再び対戦するサモア
サモア代表は、南太平洋にルーツを持つ選手によるスーパーラグビーのチーム「モアナ・パシフィカ」の誕生により、強度の高い試合を経験する選手が増えた。
また、ワールドラグビーの規定変更により、在住国で36ヶ月間その国の代表としてプレーしなければ、ルーツを持つオールブラックス(ニュージーランド代表)やワラビーズ(オーストラリア代表)の選手がサモア代表になれるようになり、選手層は確実に厚くなった。
今回の試合でも、2019年ワールドカップまでワラビーズでプレーしたSO(スタンドオフ)クリスチャン・リアリーファノら2選手が出場した。
武器であるアタックが不発
しかし、試合は思わぬ展開となった。10-3でリードしていた前半30分、リーチが危険なタックルを犯し「人生初のレッドカード」で一発退場を食らってしまう。日本代表は残りの50分間、14人の数的不利で戦うことを余儀なくされた。
ディフェンス面ではしっかりと意思統一が図られ、劣勢だったスクラムも試合途中から徐々に修正。李承信(SO/コベルコ神戸スティーラーズ)が4本のPGを沈めて、あと3点で逆転という状況まで追いすがった。しかし、ミスとセットプレーからの失トライが響き、最後は22-24でノーサイドとなった。
日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)もこう語る。
「選手たちは前に出てタックルを決めて、本当によくやったと思う。ただ、試合はマイケルを退場で失った30分で終わってしまった。14人になってしまうと、レベルの高い相手とテストマッチを戦うのは難しい」
個人的に一番大きな問題だと感じているのは、国内1戦目に続いてこの試合でも1トライに終わったことだ。「アタックはジャパンの大きな武器」とジョセフHCが胸を張るように、トニー・ブラウンコーチが指導する今の日本代表は、アタッキングラグビーを信条とするチームだ。しかし現状、アタックで納得のいく結果は残せていない。まだまだミスが多すぎる。
この試合で4人の初キャップが誕生したように、若い選手の台頭は実にうれしいニュースだ。しかし、やはりチームをリードしないといけないのは、2019年ワールドカップ組であることは明白である。
リーチがレッドカードを受け、山中がダイレクトキックでミスを犯し、チームの中軸である経験豊富な選手たちがノックオンしてしまえば、勝てるはずの試合に当然勝てない。イングランドやアルゼンチンといった強豪国だけでなく、ランキングで格下のサモアにも勝つことは難しくなる。
2019年ワールドカップ以降、日本代表の対戦成績は3勝11敗と大きく負け越している。上位の強豪国である「ティア1」にひとつも勝つことができず、勝利したのは格下のポルトガル戦(38-25/2021年11月)とウルグアイ戦(34-15、43-7/2022年6月)のみだ。
国内でのテストマッチは残り2戦──。7月29日に大阪・花園ラグビー場でトンガ代表(15位)、8月5日に東京・秩父宮ラグビー場でフィジー代表(13位)を迎え撃つ。