2023年8月26日土曜日
イタリア
42 - 11 Italy 勝利
W杯本番前の大一番
ワールドカップ前最後のテストマッチということで、日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「キッキングゲームのバランスと、プレッシャー下でいかにゲームをコントロールするかを見ていきたい」と言う。イタリア代表と対戦することについては、「パーフェクトな相手だと思う。いままで8回対戦して2回しか勝ったことのない相手だし、シックスネーションズ(欧州強豪6か国の対抗戦)ですごくもまれて強いチームだ。セットピースベースのゲームを多くこなしており、イングランドもアルゼンチンも似たようなチームなので、絶好の機会となるだろう」と語った。
LOワーナー・ディアンズやFLピーター“ラピース”・ラブスカフニなど、キープレーヤーの数人が負傷や出場停止処分で出られないなか、頬骨のけがから回復した23歳のFL福井翔大がテストマッチで初先発となる。また、テストマッチ未経験ながらワールドカップスコッド入りを果たしたLOサウマキ アマナキがチャンスを与えられてベンチ入りし、出番があれば日本代表初キャップとなる。ジョセフ ヘッドコーチは「彼はこの2カ月間、すごくワードワークをし、競争が激しいポジションでチャンスが回ってきた。試してみたい」とニューフェイスに期待する。
そして、7月22日のサモア戦で危険なプレーをし2試合出場停止となったリーチ マイケルが処分明けで6番をつけることになり、日本代表として80キャップ目を獲得する。ワールドカップでもキャプテンを務める姫野和樹はNO8で先発。FWの2列と3列で貴重な存在であるジャック・コーネルセンはLOを任された。フロントローのスターターは、PRクレイグ・ミラー、HO堀江翔太、PR具智元となった。
ハーフ団の先発はSH流大とSO李承信のコンビ。「流はリーダーシップとスピードがあり、経験をもとにいい判断をチームにもたらしてくれる。彼は副キャプテンでもあり、最初にチームに自信をつけてくれる選手だと思っている。齋藤(直人)もすごくいい選手だが、どっちがスタートでどっちがフィニッシュ(後半出場)かいろいろ試しているなかで、今回の試合では流に先発を託した。SOも同じような理由。(松田)力也も経験のある選手だが、まだトップパフォーマンスは発揮できていないと感じており、今回は(李)承信をスタートで試してみようと思っている」(ジョセフ ヘッドコーチ)
チームの状態はとてもいいと指揮官は言う。「(国内)5試合のなかではレッドカードが出たり、チームにとってフラストレーションがたまるような状態だった。けが人も出て、変にチームの自信を削ぐようなことにつながったが、いまはそれを全部乗り越えて、悪い運はすべて置いてきた。いまはフィジカルともに、チームはすごくいい状態だと思う。メンタルの部分で言うと、ワールドカップのセレクションが日本でおこなわれたことによって、選手はよりプレーに集中できている気がする。チームは一体化している」と自信を持つ。
好調のItaly
ワールドカップに出場するイタリアはヨーロッパの6か国対抗戦などで世界ランキングひと桁の強豪と戦いながら力をつけてきたチームです。
イタリア代表のキャプテン、ミケーレ・ラマーロ選手は、日本代表の印象について「明確なプレースタイルを持っていて手強い相手だと思う。特徴を把握して対戦したい」と日本の速いテンポのラグビーを警戒していました。
また、注目する選手としてフォワードではリーチ マイケル選手とキャプテンの姫野和樹選手、バックスでは松島幸太朗選手をあげました。
そのうえで「リーチ選手は、出場停止処分が明けてチームにどのようなインパクトを与えるか見極めたい。キャプテンの姫野選手は、フィジカルが強く、ボールのハンドリングもうまい中心的な選手だ。松島選手は、フランスでプレーしていた時期もあり、とてもスピードがある」と話しました。
そして勝負のポイントとして「日本代表のバックスに強い選手がいるので、そこをどう抑えるかがカギになってくる」と話していました。
イタリア代表は今年のサマーネーションズシリーズでスコットランド代表とアイルランド代表に敗れたものの、先週は同じくワールドカップ出場国のルーマニア代表を57-7と圧倒している。
ワールドカップでイングランド代表やアルゼンチン代表など強豪ぞろいのプールに入る日本代表にとって、ヨーロッパの難敵を相手とする貴重な腕試しとなる。
キックが不調
日本は、前半6分に先制トライを許すが、その10分後にWTBジョネ・ナイカブラが中央やや左にトライを決める。しかし、SO李承信のキックは外れて追いつくことができなかった。その後トライを決められて突き放されるが、李のペナルティゴール2本で何とか食らいつき、6点ビハインドで前半を折り返す。
後半6分に3点を追加されて9点を追う日本は、その6分後にFB松島幸太朗がトライを決めて4点差に詰め寄る。しかし、この日の日本はキックの精度が低く、後半から李に代わってフィールドに立った松田力也のコンバージョンゴールは左に力なく外れてしまう。
その後、ペナルティゴールで3点を加点された日本は、後半31分に我慢のパス回しから途中出場のCTBディラン・ライリーのトライにつなげ、28対21と何とか食らいつく。しかし、ここでも松田のキックが外れ7点差のまま。最後は疲れから集中力を欠いた日本は2本のトライを立て続けに許し、終わってみればダブルスコアの完敗だった。
日本の敗因は、ハンドリングエラーなどのミスのほか、李と松田のキックが不調に終わったこと。9月10日に行われるワールドカップ初戦のチリ代表戦を前に大きな課題を残した。約2週間後に迫ったワールドカップ開幕までに、この日露呈した課題をどこまで克服できるか注目だ。