2023年9月9日土曜日
ラグビーワールドカップ2023フランス大会予選プールB組
Bordeaux Stade de Bordeaux 収容客数42,115人(テレビ観戦)
82 - 8 Ireland勝利
悲願の優勝なるか
アイルランド代表は、ワールドカップ(W杯)イヤーの世界ランキング1位(9/4付)としてフランス大会に臨む。チームはアイルランド共和国および北アイルランドから選手が選出され、一般的な愛称は持たず、両国の国花の「シャムロック(shamrock)」(マメ科のクローバー)をエンブレムとする。そのプレースタイルはヨーロッパらしい展開を得意とし、世界でも最強のフィジカルを武器に、強固でひたむきなタックルでトライを目指す姿は「魂のラグビー」と評される。
シックス・ネーションズでは4度の全勝優勝を果たす強豪に位置するが、過去のW杯でベスト4の壁を破ることができていない。
注目選手は、SOのジョナサン・セクストン。経験豊富なプレーメーカーであり、チームの攻撃の中心となる存在としてキャプテンを務める。今大会が最後のW杯になるだけに、セクストンを中心にチームは一丸となる。また堅実なプレーでチームに不可欠なFLジョシュ・バンダーフリアー、果敢な突破が持ち味のFBマック・ハンセンなど、優れたスキルとパフォーマンスを持つ選手が揃う。アイルランド代表がその実力を発揮し、ベスト4の壁を破れるかに注目。
爪痕を残せるか
ルーマニア代表、愛称「オークス(The Oaks)」。エンブレムも同じく樫(オークス)がモチーフ。東欧の強豪国の最大の特徴はスクラムの強さ。屈強な体躯を生かし、フォワード中心に激しい当たりを展開するラグビーが持ち味。
前回大会は欧州予選を1位通過しながら、代表資格のない選手を出場させたとして勝ち点を減点され、ワールドカップ(W杯)出場を逃した。そして今大会は、欧州予選で2位に入りW杯出場権を得ていたスペインが、欧州予選で出場資格のない選手を出場させていたことが分かり、出場を取り消されたことで繰り上がりでルーマニアが出場権を手にした。
W杯開幕前のワールドラグビーランキングは19位(9/4付)。過去のW杯本大会ではプール戦突破の経験はないものの、過去8大会で6勝。そのうち1991年大会ではフィジー代表を下すなど、強豪国との戦いで確実に成長を遂げており、欧州ティア2でトップレベルと言われる実力を持つ。
出場した本大会で1勝も挙げられなかったのは1995年と2011年大会だけで、必ず爪痕を残してきたルーマニア代表。強靭さと闘志あふれるプレーで、プールB突破を目指す。
世界ランキング1位の実力
試合はアイルランドとの対戦成績が9戦全敗のルーマニアが、開始から間もない3分に先制パンチを浴びせる驚きの展開となった。キックオフ直後の蹴り合いからアタックに転じたアイルランドのキックパスをインターセプトしたルーマニアは、そのままBK(バックス)のパス交換で相手守備陣を突破し、最後はSH(スクラムハーフ)ガブリエル・ルパヌがトライを決める。
一方、アイルランドも直後の5分に中央突破からSHジャミソン・ギブソンパークがトライを決めると、SO(スタンドオフ)ジョナサン・セクストンがキックを決め、コンバージョンの決まらなかったルーマニアを7-5と逆転する。
これで落ち着いたアイルランドは、自陣から開始したアタックでショートパス主体にフェーズを重ね、最後は13分に中央付近でFB(フルバック)ヒューゴ・キーナンがインゴールに飛び込みトライ。コンバージョンも決まり、14-5とリードを広げる。
0分過ぎ、攻めきれない状況が続いたアイルランドは、相手のシンビンで数的優位に立つと、34分にCTB(センター)バンディー・アキのトライで待望の追加点を挙げ、コンバージョンも決めて、26-8とする。勢いに乗るアイルランドは、終了間際にセクストンのトライとコンバージョンでさらに7点を加え、33-8とリードを広げて後半へ折り返した。
後半も試合の形勢は変わらず、アイルランドはセットピースの強さと小気味良いパスワークを主体にトライを重ね、後半11分の時点で47-8としてゲームの趨勢を決定づける。
結局、その後も攻撃の手を休めることなかったアイルランドは、途中出場の選手たちも意欲的なパフォーマンスを見せ、さらにトライの山を築き、82-8の大勝で会心のスタートを切った。