2023年9月23日土曜日

ラグビーワールドカップ2023フランス大会予選プールB組

Saint-Denis Stade de France 収容客数81,338人(テレビ観戦)

8 - 13 Ireland勝利

SPRNGBOKS

鉄壁のディフェンス

前回王者vs.世界ランキング1位。大会を占う大一番だ。9月8日に開幕したラグビーワールドカップもすでに2週間が経ち、プール戦も折り返しを迎えている。9月23日(土)はプールBで、ディフェンディングチャンピオンの南アフリカ代表世界ランキング2位)と、アイルランド代表同1位)の優勝候補が激突する。

2019年王者の「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表は、初戦でスコットランド代表を18-3で下し、第2戦ではルーマニア代表を寄せ付けず、76-0で大勝。現在勝ち点9で2位につけている。

南アフリカ代表のジャック・ニーナバーHC(ヘッドコーチ)はルーマニア代表戦から13人を変更した。膝のケガでスコッドから離れたHO(フッカー)マルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)を除いては、初戦のスコットランド代表戦と同じ先発を組んできた。

FW(フォワード)第1列は、PR(プロップ)スティーヴン・キッツォフリア、フランス・マルハーバ、HOはマークスに代ってボンギ・ンボナンビの3人。ンボナンビはルーマニア代表戦から唯一引き続き先発する。

LO(ロック)はエベン・エツベスと三重ホンダヒートのフランコ・モスタートのコンビ。バックローは、FL(フランカー)がキャプテンのシヤ・コリシと、トヨタヴェルブリッツのピーター ステフ・デュトイ、NO8(ナンバーエイト)はジャスパー・ヴィザが務める。

BK(バックス)は、ハーフ団は横浜キヤノンイーグルスのSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークとSO(スタンドオフ)マリー・リボックのコンビ。CTB(センター)は埼玉パナソニックワイルドナイツのダミアン・デアレンデと、横浜キヤノンイーグルスのジェシー・クリエルのコンビ。

WTB(ウイング)はワールドカップ終了後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビとカート リー・アレンゼが両翼を担い、FB(フルバック)にはダミアン・ヴィレムセが入った。

リザーブは、HOデオン・フォーリー、PRオクス・ンチェ、トレヴァー・ニャカネ、LOジーン・クライン、RG・スナイマン、FLマルコ・ファンステーデン、静岡ブルーレヴズのクワッガ・スミスと、FW7人が入り、BKはSHコブス・レーナック1名のみとなった。先日追加招集されたSOハンドレ・ポラードは今回メンバーには入らなかった。

ニーナバーHCは、「これは重要な試合だし、このプールに入ったとき、このプールを抜けるのは難しいだろうと誰もがわかっていた。どちらが勝っても、プールを抜けるのに有利な立場になる」。

「でも、第1戦からノックアウトラグビーをすると言っていたのだから、何も変わっていない。トップチーム同士の対戦では規律が重要であり、ペナルティは重要だ。アイルランド代表に規律を欠いたプレーをさせれば、得点に結びつけられたり、自陣22mでプレッシャーをかけられたりする」と語気を強めた。

また、ベンチに7人のFWを入れたことについて指揮官は「どんなスポーツでも革新的なことがあれば、肯定的であれ否定的であれ、反応があると思う。これは明らかにユニークで、7人のFWと1人のBKをベンチに置いたのは初めてのこと」と答えた。

キャプテンのFLコリシは、「ビッグマッチになると思う。ワールドカップで世界ナンバーワンのチームと戦う。彼らは14連勝している素晴らしいチームだから、彼らを倒すには最高の力が必要だ。楽しみだし、世界中が興奮しているのがわかる」とコメント。

相手の主将SOジョニー・セクストンについて聞かれて、「彼はアイルランドにとって偉大なリーダーだと思う。彼は素晴らしい選手であり、アイルランドにとって重要な選手でもある。彼がいるとき、アイルランドはまったく違うチームになる」と話した。

アイルランドラグビー協会エンブレム

魂のラグビーが頂点を目指す

現在世界ランキング1位のアイルランド代表は、初戦でルーマニア代表を82-8、続くトンガ代表戦で59-16と、順調に4トライ以上のボーナスポイントを獲得して連勝。2戦を終えて、勝ち点10でプール首位に立っている。

アンディ・ファレルHCは、トンガ代表戦からSH1名の先発を変更するに留めた。

PRアンドリュー・ポーター、タイグ・ファーロング、HOローナン・ケラハーで第1列を構成する。LOはタイグ・バーンとジェームズ・ライアンのコンビ。FLはピーター・オマーニーがブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦のキャップと合わせての100キャップの節目を迎え、昨年の世界最優秀選手のジョシュ・ファンデル フライアーと、NO8ケーラン・ドリスと3人でバックローを担う。

BKを見ると、ハーフ団はSHコナー・マレーがベンチに下がり、ジャミソン・ギブソンパークが先発し、キャプテンのSOジョニー・セクストンとコンビを組む。CTBはこの試合で50キャップ目、現在4トライでトライランキングトップタイのバンディ・アキギャリー・リングローズのコンビ。WTBはジェームズ・ロウとマック・ハンセン、FBはヒューゴ・キーナンが入った。

ベンチにはHOダン・シーハン、PRデイヴ・キルコイン、フィンレー・ビーラム、LOイアン・ヘンダーソン、FLライアン・ベアード、SHマレー、WTBジャック・クロウリー、CTBロビー・ヘンショウが入った。

ファレルHCはスプリングボクスが、FW7人をベンチに入れたことについて、「素晴らしいことだと思う。明らかに彼らに合っている。自分もFWのコーチたちに、BK7人FW1人で行くべきかどうか聞いてみたが、それに乗り気ではなかった(笑)。それがプレッシャーになるとはまったく考えていない。ベンチにいる5人のFWにはかなり自信があるし、彼らが与える影響や、そうなったときにどんなプレーをするかにも自信がある」と応じた。

試合について指揮官は「絶対に勝たなければならない試合ではないし、やるかやらないかの試合でもないが、両チームにとってかなり重要な試合だ。勝てるに越したことはないが、私たちは常に自分たちのパフォーマンスを中心に考えてきた」。

「よく知っているスタジアムに3万人以上のアイルランド人サポーターが集まるビッグゲームだ。そこで勝利を取り戻したいと思っているので、準備はできているし、楽しみにしている」と予選プールの1試合ということもあり落ち着いた表情で答えた。

SOセクストン主将は「世界チャンピオンとの対戦だが、彼らはここ数週間で調子を上げてきている非常に優れたチームだ。彼らのディフェンスはラインスピードが自慢だ。最近の彼らのプレーぶりを見れば明らかだが、彼らはゲームのあらゆる面で我々を試してくる」と警戒した。

やはり、控えにFW7人を入れた南アフリカ代表のFW陣にどこまでアイルランド代表FW陣が拮抗できるかが大きな鍵となるだろう。FWで優位に立てば南アフリカ代表はBK陣も強力でありトライを重ねてくるはずだ。

一方、今大会こそ初のベスト4以上を狙うアイルランド代表は、FW戦で互角に戦うことができればSOセクストン主将中心にFW、BK一体となったアタックが機能し勝利に近づくはずだ。

南アフリカ代表とアイルランド代表の過去の対戦成績は27回の対戦で南アフリカ代表の18勝8敗1分け。ただ、最後に対戦した2022年11月は、ホームでアイルランド代表が19-16で勝っている。

勝利した方が3連勝となり、ベスト8進出をほぼ確実にする試合で、世界中のラグビーファンの耳目が集まっている。今大会のプール戦で最大のビッグマッチとなる世界のトップ2の対戦は、日本時間で9月24日(日)午前4:00(現地時間23日午後9時)より、パリ近郊サン・ドニのスタッド・ドゥ・フランスでキックオフされる。

事実上の決勝戦

3週目に入ったラグビーワールドカップ2023は、前回王者にして世界ランク2位の「スプリングボクス」こと、南アフリカと世界ランク1位のアイルランドが激突する今大会プール戦における最大のビックマッチを迎えた。

2019年大会王者の「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表は、初戦でスコットランド代表、第2戦ではルーマニア代表を寄せ付けず勝ち点9で2位に。現在世界ランキング1位のアイルランド代表もルーマニア代表とトンガ代表戦を下し、勝ち点10でプール首位に立っていた。勝利した方が準々決勝に大きく近づく一戦だった。

サンドニで開催された大一番は、アイルランドのキックオフで前半が幕をあけると、アイルランドが敵陣22mラインを超えて侵入するが、南アフリカは巧みなコンテストキックやテリトリーを回復するキックで局面を打開する。

スプリングボクスはSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークのキックをきっかけに敵陣深く入り込むと、その流れの中でペナルティを獲得。6分にSO(スタンドオフ)マニー・リボックがこのPG(ペナルティゴール)を決め、3点を先制する。

この失点後も、アイルランドはテリトリーで優位に立って試合を運ぶも、ラインアウトやスクラムなど、セットピースでほころびを見せ、攻め切れない状況が続く。

すると、20分過ぎから南アフリカが攻勢を強め始め、敵陣でボールを保持してアタックを仕掛ける場面を増やしてゆく。これに、アイルランドは魂のこもったタックルで応戦。ロースコアながら、みどころ十分の熱戦がピッチ上に繰り広げられる。

やや押され気味だったアイルランドは、CTB(センター)バンディ・アキのラインブレークからのビッグゲインで、敵陣22mラインの内側へ攻め込むと、最終的にはラインアウトからフェーズを重ね、SOジョニー・セクストンが絶妙にアタックを組み立て、33分にWTB(ウィング)マック・ハンセンがトライを決める。

さらに、角度のない位置からセクストンがコンバージョンを決め、アイルランドが7-3とすると、試合はそのままハーフタイムを迎える。後半もテンションの高い攻防が続くなか、リザーブをFW(フォワード)7人にBK(バックス)1人と変則的な陣容で臨んだスプリングボクスは、早めの選手交代でFWを刷新。

この采配により、スクラムで相手を圧倒するようになった南アフリカは11分、敵陣深い位置でのスクラムをWTBチェスリン・コルビのトライにつなげる。コンバージョンは外れるも、南アフリカが8-7と逆転に成功する。

これに対しアイルランドは、劣勢になりつつあったスクラムで盛り返しを見せ、ペナルティをゲットすると、19分にセクストンがこのショットを決め、10-8と再び優位に立つ。その後、アイルランドは南アフリカが24分、26分と、立て続けにPGを外すのを尻目に、途中出場のSOジャック・クロウリーが、37分にPGを決め、13-8とリードを広げる。

試合は最後まで手に汗握る展開となり、終了間際には南アフリカが敵陣深い位置でのラインアウトからモールで押し込む場面を作るも、ゴールライン際の攻防をアイルランドが守り切り、そのままノーサイドに。熱戦の末、前回王者を下したアイルランドが無傷の3連勝で、プール戦突破へ大きく前進した。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には得意のランでゲインを繰り返したアイルランド代表CTBアキが選出された。「(3万人という大勢のアイルランドのファンを目にして)信じられない。こんな光景を目の当たりにしたのは初めてだ。南アフリカは素晴らしいチームだ。チームとして、この試合に臨むにあたって、すべての面でもっと良くならなければならないことはわかっていた」。

準々決勝進出へ大きく前進し、世界ランキング1位をキープしたアイルランド代表のアンディー・ファレルHCは「信じられないほど誇りに思うし、南アフリカのコーチたちも誇りに思っていることだろう。前半は我々がフィールドポジションを支配し、後半は南アフリカが支配したと思う」。

また、「ディフェンスはサイモン・イースタービー(コーチ)のおかげだ」と喜んだが、「今夜は私たちの(優勝への)旅路における1つの試合であり、両者の間にはそれほど大きな差はないことは誰もがわかる。次にスコットランドとの試合があり、そこにフォーカスを当てている」と勝利に浮かれることなく気を引き締めた。

キャプテンのSOセクストンは、「アイルランドにとって大きな1日だ。この観衆は信じられないほどで、今日はどれだけの人が集まってくれたか。彼らをがっかりさせたくなかった」とファンに感謝し、「南アフリカ代表のようなチームと戦い抜くのは、本当に腕力勝負だった。チームとスタッフのおかげだ」と語った。

敗れた南アフリカ代表のジャック・ニーナバーHCは「アイルランド代表のブレイクダウンが素晴らしかったと思う。それが、我々が勢いに乗れなかった最大の理由の1つだろう。こうなることは分かっていた」。

「この1週間で、ディフェンスのブレイクダウンにおける彼らの戦術を打ち砕くプランをいくつか立てたが、一貫して機能しなかったのは明らかだ。この試合から得られる教訓はある。どうすればもっとうまく対処できるか、新たなプランを立てなければならない」と振り返った。

さらに指揮官は「次はトンガ代表だ。(準々決勝で対戦するであろう)フランス代表のことを考え始めるのは先走ることになる。今はトンガ代表戦に集中する。そのあとはオフウィークがあるので、準々決勝で対戦する相手のために準備する時間がある」とこちらも次戦に向けて気を引き締めていた。

キャプテンFLコリシも「勝ちたかったが、素晴らしい試合、激しい試合だった。南アフリカ代表は本当にいいプレーをした。自分たちも前半はプレッシャーをものともせず、トライを奪った。自分たちのプレーを誇りに思う。私たちは少しチャンスを残していたと思うし、相手もそうだった」と振り返った。

開幕から3連勝を飾ったアイルランド代表のプール最終戦は10月7日(土)、再び、サン=ドニでスコットランド代表と激突する。2勝1敗となった南アフリカ代表は10月1日(日)にマルセイユでトンガ代表と対戦する。

投稿者

ラグビー好きの食いしん坊

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