2023年9月28日木曜日
ラグビーワールドカップ2023フランス大会予選プールD組
Toulouse Stade de Toulouse 収容客数33,150人
絶対、負けられない一戦だ。ラグビーワールドカップ2023、現地9月28日(木)には、日本代表(世界ランキング13位)がトゥールーズの「スタジアム・ドゥ・トゥールーズ」で「マヌ・サモア」こと、サモア代表(同12位)と激突する。
生き残りを懸けた戦い
開幕から2戦を終えて、ともに1勝1敗の勝ち点5で並んでおり、得失点差でサモア代表が2位につけている。日本代表としては、ベスト8進出に向けて、どんな形であれ白星を挙げたいところ。
過去の対戦成績では5勝12敗と日本代表が負け越しており、今年の7月には札幌で対戦、22-24で惜敗している。ただ、ワールドカップでは、2015年大会で26-5、2019年大会では38-19で、日本代表が勝利している。
初戦でチリ代表に勝利し、2戦目のイングランド代表戦は負けて1勝1敗となった日本代表。中10日と休養は十分であり、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)はスクラム、ディフェンスが良かったFW(フォワード)は前の試合から変更なし、BK(バックス)2名の変更にとどめた。
FW第1列はPR(プロップ)稲垣啓太と具智元、HO(フッカー)堀江翔太の経験豊富な3人。LO(ロック)はジャック・コーネルセンとアマト・ファカタヴァの2人。バックローは、左FL(フランカー)にリーチ マイケル、右FLにピーター・ラブスカフニ、そしてキャプテンの姫野和樹がNO8(ナンバーエイト)に入った。
BKはSH(スクラムハーフ)流大、SO(スタンドオフ)松田力也のハーフ団は3戦連続先発。CTB(センター)中村亮土とコンビを組むのは、長田智希がベンチに下がり、前の試合で途中出場ながら活躍したディラン・ライリーとなった。
バックスリーは、両翼はWTB(ウィング)ジョネ・ナイカブラ、松島幸太朗の2人、FB(フルバック)はケガでチームを離れたセミシ・マシレワに替わり、レメキ ロマノ ラヴァが日本代表として初めて15番を背負う。
ベンチには、HO坂手敦史、PRクレイグ・ミラー、ヴァルアサエリ愛、LOワーナー・ディアンズ、FL下川甲嗣、SH齋藤直人、ワールドカップ初のメンバー入りとなったSO李承信、CTB長田となった。
日本代表を率いるジョセフHCは「簡単に勝てる相手ではないし、今回は大きなチャレンジになると思う。だが、我々は本当にいい1週間を送ってきた。きちんとしたプランを持っている。イングランド戦の後半のような経験もある。フィジカル的にタフなだけでなく、タフにリードし、テストマッチを勝ち抜く必要がある」と冷静に話した。
FBにレメキを初めて起用した理由に関して、指揮官は「(イングランド代表戦で)非常にいいパフォーマンスを見せた。本当にいい仕事をしたと思う。彼はまた同じようなプレーができると確信している」と信頼を寄せた。
そのレメキは「(先発に)俺が入ったのが一番いいポイント!それ以外にいいゲームプランを持っている。(FBとして)バックフィールドの運動量が大事、ずっと走れる。そこは自信ある。サモア代表にはずっと動けば勝てると思う」と意気込んだ。
キャプテンNO8姫野は「サモア代表戦は重要なゲームになる。厳しい戦いとなることはわかっていた。そのための準備をしてきたので、チームとしての自信を感じる。日程的にもリフレッシュする時間があったので、僕たちにとっていいアドバンテージになる。自分たちには勝つプランがある。100%遂行して、信頼してやっていきたい」と語気を強めた。
やはり、大きくフィジカルなFWパックを擁するサモア代表に対して、日本代表はキックを上手く使って背走させつつ、イングランド代表戦同様に、粘り強いタックルでプレッシャーをかけ続けたい。また、相手22m内に入ったら現在、100%のキック成功率を誇るSO松田のPG(ペナルティゴール)や、連続攻撃で得点を挙げること、そしてセットプレーでも互角に戦うことも欠かせない。
勝ち点を挙げられず敗戦すると、ベスト8進出が大きく後退してしまうプール3戦目。後半途中まで接戦だったものの敗戦したイングランド代表戦の悔しさをバネに、しっかりと難敵に勝利して最終戦で勝ちさえすればベスト8進出という状況を作ることができるか。
強力メンバーで勝利を狙う
中5日で3戦目となったサモア代表のメンバーも見ていこう。サモア代表のセイララ・マプスアHCは、「日本は非常に規律正しいチーム。我々がやりたいプレースタイルを設定し、攻撃にもう少しバリエーションを加えたい」とアルゼンチン代表からFW2名、BK2名と計4人の選手を変更。7月、日本代表に勝利した試合に出場した選手は11人がメンバー入りした。
FW第1列は前の試合に引き続き、PRジェームズ・レイ、ポール・アロエミール、HOセイララ・ラムの3人が先発。LOがブライアン・アライヌエセに替わり、共同キャプテンのクリス・ヴイが4番にシフトし、先週FLでプレーしたセオドア・マクファーランドとコンビを組む。
バックローは、FLはタレニ・セウがベンチから上がり、フリッツ・リーは引き続き先発する。「プレー時間が多くなっていたので、インパクトプレイヤーとして出したい」(マプスアHC)」と元オールブラックスのNO8スティーブン・ルアトゥアはリザーブに回り、ジョーダン・タウファが先発する。
BKは、SHジョナサン・タウマテイネ、元オーストラリア代表で日本でもプレーしたベテランSOクリスチャン・リアリーファノのハーフ団は引き続き先発。CTBはトゥムア・マヌが12番から13番に移動し、ディアンジェロ・レウイラが先発。WTBはオールブラックスのセブンズ経験のあるベン・ラムと、ナイジェル・アーウォンに替えてエド・フィドウが右サイドで先発。FBはダンカン・パイアアウアが務める。
ベンチには他に、HOサマ・マロロ、PRジョーダン・レイ、共同キャプテンのマイケル・アラアラトア、FLアラマンダ・モトゥガ、SHメラニ・マタヴァオ、WTBネリア・フォマイ、CTB/WTBダニー・トアラが入った。元オールブラックスのPRチャーリー・ファウムイナと、CTBリマ・ソポアンガはメンバー入りしなかった。
クボタでプレー経験のあるマプスアHCは「日本のチームも良くなっているし、自分たちのチームも良くなっている。7月に対戦したときとは違って、両チームとも成長している。だから、あの試合の結果はあまり参考にはならない。全く違う試合になると思うし、両チームともかなり強くなるだろう」と話した。
さらに指揮官は、「日本の長所であるスピードと、決してあきらめない姿勢を非常に警戒している。彼らのプレーはとてもテクニックに優れている。私たちはその長所に対抗し、フィジカルの強さと基本的なことをしっかりやるという点で、自分たちのやりたいプレーを実践していきたい」。
「それが我々にとって鍵になるだろうし、日本がかけてくるプレッシャーを吸収できるようにすることだ。我々は日本にも同じようなプレッシャーをかけるつもりだ」と力を込めた。
共同キャプテンのLOブイは「日本の実力はわかっている。よくコーチングされたチームだし、いつものように日本のスペシャルプレーに注目している。アマト・ファカタヴァは大きなLOで、日本のチームにフィジカルの強さをもたらしている」。
「スクラムに関しては、かなり改善されていることは知っている。日本はラインアウトだけでなく、スクラムでも優位に立てることを証明して見せた。自分たちのセットを最後までやり遂げる必要がある」と意気込みを見せた。
ジェイミージャパン、この4年間の真価が問われるサモア代表戦は、9月28日(木)午後9:00、日本時間の29日(金)午前4:00にキックオフされる。
Japanがベスト8に前進
ラグビーワールドカップ2023は4週目に入り、この日はトゥールーズのナイトゲームで、イングランドの一強状態になりつつあるプールDでの生き残りをかけ、日本とサモアが対戦した。
サモアのキックオフで始まった前半は、開始間もない2分にサモアが自陣で得たペナルティでショットを選択し、CTB(センター)ディアンジェロ・レウイラが59mと、やや距離のあるペナルティゴールで先制点を狙うも、これは届かずノーゴールに。この後、前半序盤は日本がテリトリーを獲得しながら優勢に試合を運ぶ。
すると13分、日本は敵陣でのマイボールスクラムからオープンサイドへ展開し、FB(フルバック)レメキ ロマノ ラヴァが大きくゲインすると、最後はFL(フランカー)ピーター・ラブスカフニがインゴールに飛び込みトライ。SO(スタンドオフ)松田力也がコンバージョンを決め、7-0と先手を取る。
対するサモアは19分前後に、敵陣22mラインでのスクラムで得たペナルティを皮切りに、ボールを保持しながら日本のインゴールを脅かす。しかし、この局面でトライを奪うには至らず、25分にCTBレウイラがPG(ペナルティゴール)を決めて3点を返すに留まる。
一方、日本は松田が28分にPGを決め、再び7点のリードを取り戻す。精度の高い効率的な攻撃で試合の主導権を握った日本は、自陣でのスクラムからアタックを開始すると、32分にアドバンテージの出ているなか、長いパスをつないでFLリーチ マイケルのトライへと繋げる。コンバージョンも決まり、17-3とリードを広げる。
その後、前半終盤は両チームともにシンビンで1人欠くなか、38分にサモアがラインアウトからドライビングモールで押し込み、トライを奪う。しかし、コンバージョンは外れ、日本が17-8とリードした状況でハーフタイムを迎える。
後半に入り、両チーム15人に戻ったところで、7分に再びサモアにイエローカードが提示されると、これが日本に流れを呼び込み、9分にラインアウトからのドライビングモールでNO8(ナンバーエイト)姫野和樹がトライを奪う。このトライの直後に、サモアのイエローはレッドカードにアップグレードされ、14点を追うサモアは後半の大部分で数的不利を強いられる展開となる。
これで俄然優位に立った日本は16分、35分と、今大会キックに抜群の安定会を見せている松田がPGを決めて着実にリードを広げる。対するサモアも一貫して近場で押し込む展開に勝機を見出し、数的不利ながら25分と38分にトライを奪って食い下がる。
しかし、日本は痺れる終盤の時間帯にこのサモアの反撃を耐え、僅差となったリードを守り抜き、28-22で今大会2勝目を挙げてプール戦突破へ自ら道を切り開いた。
2023年4月1日土曜日からは J SPORTS で「ラグビーワールドカップ100選!」が放送・配信予定。
2023年9月9日土曜日からは J SPORTS で「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」が放送・配信予定。
2023年7月8日土曜日からは WOWOW で南半球4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」が6試合放映予定。