2023年10月8日日曜日

ラグビーワールドカップ2023フランス大会予選プールD組

Nantes Stade de la Beaujoire 収容客数38,285人(テレビ観戦)

39 - 27 Japan善戦及ばず

目標のベスト4に向けて

いよいよ大一番を迎える。ラグビーワールドカップ2023も今週末でプール戦すべての試合が終わる。10月8日(日)プールDの日本代表世界ランキング12位)は、アルゼンチン代表世界ランク9位)とベスト8進出をかけて戦う。日本代表はどんな形であれ勝利するか、引き分けても日本代表だけ、4トライ以上のボーナスポイントを挙げれば決勝トーナメントに進出する。

過去の対戦成績は日本代表の1勝5敗。ワールドカップではジェイミー・ジョセフHCや長谷川慎コーチが選手として出場していた1999年大会で、12-33と負けて以来、2度目の激突となる。

日本代表はイングランド代表には敗れたものの、チリ代表、サモア代表に勝ち、同じく勝ち点9で、得失点差で3位につけている。ジェイミー・ジョセフHCは先週のサモア代表戦からの変更はWTBの1名のみにとどめた。

FWは過去2戦と変わらず、第1列はPR稲垣啓太具智元、HO堀江翔太の3人。LOはアマト・ファカタヴァジャック・コーネルセン。FLはリーチ マイケルラピース・ラブスカフニ、NO8はキャプテンの姫野和樹が務める。

BKはサモア代表戦に引き続き、ふくらはぎを痛めた副将HS流大はメンバー外となり、SH齋藤直人と、キックが好調のSO松田力也がハーフ団を務める。CTBは中村亮土ディラン・ライリー。WTBはジョネ・ナイカブラがベンチに下がり、WTBシオサイア・フィフィタがワールドカップデビューとなり、松島幸太朗と両翼を担う。FBはレメキ ロマノ ラヴァが引き続いての先発となった。

ベンチにはHO坂手淳史、PRクレイグ・ミラーヴァル アサエリ愛、LOワーナー・ディアンズとチリ代表以来のメンバー入りとなるサウマキ アマナキ、先週初キャップとなったSH福田健太、そして追加招集されたベテランFB山中亮平とWTBジョネ・ナイカブラが入った。

ジョセフHCは「ワールドカップは非常にプレッシャーのかかる試合だ。どうやってアルゼンチンのパワー、プレッシャー、力強いパックに立ち向かって行くか。モールでピックしてドライブしてボールを運べるか」。

「ワールドカップで見てきたように、トップに立ったチームは、プレッシャーや困難に対応できるチームだと思う。私たちには経験豊富な選手がいる。この試合は、我々にとっては準々決勝か準決勝のようなもので、負けたチームはホームに帰ることになる。選手たちは肉体的にも、そしてもっと重要な精神的にも、本当に自信を持っている」と語気を強めた。

キャプテンのNO8姫野は「すごくフィジカルなゲームになると思うし、この数試合フィジカルな試合をしている自信がある。相手がどう来るのかわかっているので対策しやすしい」。

「アルゼンチン代表のフィジカリティに対して、情熱的なラグビーに対して、受けずにドミネイトすることで、ゲームの流れをつかむことができると思うので、そこをしっかりFWパックはやらないといけない。そこを抑えれば自分たちのラグビーができる」と自信をのぞかせた。

日本代表としてはワールドカップに入ってから調子を上げてきたFW陣が接点、セットプレーで互角に戦いつつ、武器であるBK陣の素早いアタック、そしてキックを交えた攻撃でトライを重ねて勝利を引き寄せたい

PR稲垣が「2大会連続で決勝トーナメントに進むことは、日本ラグビーが一貫性をもって準備してきたことが結果として表れるというすごく大きな意味を持つ」と話した通り、2019年に続き、2023年大会は敵地でベスト8に入り、再び歴史を築くことができるか。

下馬評では優位

プール初戦で数的有利に立ちながらもイングランド代表に敗れたアルゼンチン代表。昨季までNECグリーンロケッツ東葛のディレクタ-オブラグビーだったマイケル・チェイカHCは「イングランド戦以降、すべてがノックアウトステージのつもりでやってきた」というように、サモア代表戦、チリ代表戦と連勝で、勝ち点9で2位につけ、最終戦の日本代表戦を迎える。

チェイカHCは先週、チリ代表を59-5で破ったチームから先発メンバーを11人変更。LO(ロック)ギド・ペッティ、FL(フランカー)マルコス・クレメル、NO8(ナンバーエイト)フアン=マルティン・ゴンサレス、CTB(センター)ルシオ・シンティは引き続き先発し、初戦のイングランド代表戦とほぼ同じ布陣となった。

FW(フォワード)から見ると、PR(プロップ)はトマス・ガージョとイングランド代表戦以来の先発となるフランシスコ・ゴメス コデラ、HO(フッカー)はキャプテンのフリアン・モントージャの3人でフロントローを形成する。LOはペッティとトマス・ラバニーニの2人。バックローはFLクレメルと、チリ戦を欠場したパブロ・マテーラ(三重ホンダヒート)と、NO8ゴンサレス。

BK(バックス)は、SH(スクラムハーフ)ゴンサロ・ベルトラノウとSO(スタンドオフ)サンティアゴ・カレーラスのハーフ団。CTB(センター)はサンティアゴ・チョコバレスとシンティ。WTB(ウイング)マテオ・カレーラスと、長身のエミリアーノ・ボフェリ、FB(フルバック)はファン=クルス・マリアが務める。

リザーブにはHOアグスティン・クレービー、SOニコラス・サンチェスの100キャップ越えの2人や、90キャップのLOマティアス・アレマノ、WTB/CTBマティアス・モロニといったベテランを始め、PRジョエル・スクラビ、エドゥアルド・ペジョ、FLペドロ・ルビオロ、SHラウタロ・バザンベレスが控える。

チェイカHCは「先発15人だけでなく、リザーブの8人のバランスもいいと考えている。私は日本を知っているが、相手は14人のディフェンスラインを敷いてくるので、我々はスペースを作って攻撃する能力を持たなければならない」。

「日本のベストの選手と、アルゼンチンのベストの選手が対戦するのだ。準備の中で、私たちは日本を分析してきたが、それ以上に日本にどうプレッシャーを与えるかに取り組んできた。日本代表は、ワールドカップのような高いレベルでプレーしたことのある、非常に優秀な選手たちが揃っている」と話した。

日本代表の注目選手を聞かれて「よく知っているというのもあるが、(グリーンロケッツで一緒だった)レメキ(ロマノ ラヴァ)を挙げざるを得ない。本当に正直とんでもない選手だよ」。

「自分がワラターズにいた頃、若い時に指導していた松島(幸太朗)もいる。BKは危険だ。さらに、姫野(和樹)、リーチ マイケルらバックローのいるFWも脅威だ。リーチはチームの精神的な部分で重要な選手だ」と話した。

キャプテンのHOモントージャは「すでに相手を分析したが、非常に規律正しいチームで、セットプレーもうまく、キッカーも非常に正確だ。しかし、我々は自分たちに集中しなければならない。いかにフィジカルでパワーを見せつけ、ゲームプランを遂行するか、そして点を取ることに関しては、それを必ず決めなければならない」と意気込んだ。

アルゼンチン代表としては接点とセットプレーでプレッシャーをかけて、武器としているキッキングゲームでも優位に立ちたいところ。

勝てば決勝トーナメントに進出し、負ければジェイミージャパンは終わりを迎える。日本ラグビー界の未来がかかった大一番は、現地時間の10月8日(日)午後1:00(日本時間午後8:00)にナントの「スタッド・ドゥ・ラ・ボージョワール」でキックオフされる。

強豪に肉薄はしたが…

決勝トーナメント進出がかかる大一番だった。ラグビーワールドカップ2023はプール終盤を迎え、10月8日(日)プールDの日本代表世界ランキング12位)は、ナントでアルゼンチン代表世界ランキング9位)とベスト8進出をかけて激突した。

ワールドカップでの対戦は1999年以来、過去の対戦成績は日本代表の1勝5敗。両チームともに2勝1敗、勝ち点9で並んでおり、日本代表はどんな形であれ勝利するか、引き分けても日本代表だけ、4トライ以上のボーナスポイントを挙げれば決勝トーナメントに進出が決まるという決戦だった。

得失点差で2位につけるアルゼンチン代表のマイケル・チェイカHC(ヘッドコーチ)は先週、チリを59-5で破ったメンバーから11人変更。

HO(フッカー)はキャプテンのフリアン・モントージャ、FL(フランカー)パブロ・マテーラ(三重ホンダヒート)、SO(スタンドオフ)サンティアゴ・カレーラス、CTB(センター)はサンティアゴ・チョコバレス、WTB(ウイング)マテオ・カレーラスと、長身のエミリアーノ・ボフェリらが先発、ベテランも控えに置き、ベストの布陣で臨んだ。

一方、日本代表のジェイミー・ジョセフHCはサモア戦からの変更は、WTBの1名のみにとどめた。突破力に長けたWTBシオサイア・フィフィタが初先発となった。

FW(フォワード)は過去2戦と変わらず、第1列はPR稲垣啓太具智元、HO堀江翔太の3人。LOはアマト・ファカタヴァジャック・コーネルセンの2人。FLはリーチ マイケルラピース・ラブスカフニ、NO8はキャプテンの姫野和樹が務めた。

BK(バックス)はフィフィタ以外、SH齋藤直人と、キックが好調のSO松田力也がハーフ団。CTBは中村亮土ディラン・ライリー。WTB松島幸太朗、FBレメキ ロマノ ラヴァが先発した

天候は快晴、3万3000人を越えるファンが見つめる中、午後1:00にキックオフされたが、試合はいきなり動く。アルゼンチン代表はラインアウトからモールを形成後、外に展開し、CTBチョコバレスが力強い突破でゲインし、そのまま中央にトライ、ゴールも決まって7点を先制する。

後手に回ってしまった日本代表だが、その後は得点を許さず、焦点の1つだったスクラムも安定。16分に相手キックのカウンターから外に展開し、FLリーチ、LOファカタヴァとつなぐ。ファカタヴァは裏にキックし、バウンドしたボールを自らキャッチし、中央左にトライ、SO松田のゴールも決まり7-7の同点に追いつく。

しかし、日本代表は23分、FLラブスカフニが危険なタックルでシンビン(10分間の一時的退場)となり、数的不利な状況となる。28分、松田のDG(ドロップゴール)がチャージされた後、WTB松島がハイパントを蹴ったが、相手にキャッチされてゲインを許し、そのままつながれてWTBマテオ・カレーラスがトライ。35分にもWTBボフェリにPG(ペナルティゴール)を決められて7-15とリードを許す。

だが、日本代表は集中力を切らさず38分、ハーフウェイラインからのスクラムを起点に左に展開し、CTBライリーのオフロードパスを受けたWTBフィフィタが大きくゲイン。最後はフォローしたSH齋藤がトライ。14-15と1点差に追い上げてハーフタイムを迎えた。

後半、先に点を取って主導権を握りたい日本代表だったが、6分、アルゼンチン代表はボールを継続し、スピードのあるWTBカレーラスがトライを挙げて14-22とされた。だが、、日本代表は12分にSO松田がPG決め、さらに16分にはFBレメキが中央からのDGを沈めて、20-22と2点差に迫った。

しかし、直後のキックオフでノックオンをしてしまい、アルゼンチン代表にスクラムのチャンスを与えてしまう。そして右に展開し、WTBボフェリがトライ。自身でゴールも決めて29-20とした。

日本代表も諦めず、果敢にアタックを続ける。25分、相手ゴール前でクイックタップから右に展開し、途中出場のWTBナイカブラが右隅にトライ。難しい角度のゴールをSO松田が決め、27-29と再び、PGで逆転できる2点差とした。

それでも、アルゼンチン代表のアタックを止めることができなかった。28分にWTBカレーラスにハットトリックとなる3本目のトライを許し、さらに35分にはPGを決められて万事休す。結局、27-39のスコアで敗戦。地力に勝るアルゼンチン代表は、2大会ぶり5度目の決勝トーナメント進出を決め、日本代表はプール3位となり、次回2027年大会の出場権を得た。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはアルゼンチン代表のWTBカレーラスが選出された。「決勝トーナメントに進むためにハードワークしてきたので、それが達成できてうれしい。これからも試合を通して学んだことを活かしてエンジョイしたい」。

善戦したものの、終盤で突き放されて2大会連続のベスト8進出できなかった日本代表のジョセフHCは、「全員がフィットしており、精神的にも肉体的にもプレーする準備ができていた。選手たちはとてもいいプレーをしていたと思う。おそらく過去4年間で最高のプレーをした」。

「非常にフィジカルで経験豊富なアルゼンチンに対し、我々の姿勢、意図、そして自分たちのラグビーをしようという意志という点で、私はチームをとても誇りに思う」と選手たちを称えた。

NO8姫野キャプテンは「ここまで来るのにたくさんの犠牲を払って、100%みんな努力した。そのことを誇りに思う。日本のファンに結果で恩返しすることはできなかった」。

「だが、僕たちの歩んできた道のりは無駄ではなかったし、夢や文化、レガシーは受け継がれていくと思うし、日本ラグビーはまだまだ強くなれると信じている。今回エベレストの頂上に桜を咲かすことはできなかったが、最高のチームだった」と目を赤くしながら話した。

アルゼンチン代表のチェイカHCは、「日本に得点を与えてしまったのは残念だったが、それをポジティブに捉えれば、来週に向けて修正していけば、勝ち続けるチャンスはあるかもしれない。前に進むにつれて向上していかなければならない。(準々決勝の相手)ウェールズは4勝し、優勝候補であることは承知している。相手もゲームプランも違うので、今日と同じ試合は繰り返さない」と先を見据えた。

キャプテンのHOモントージャは「ノックアウトマッチであり、細部で決まるとわかっていた。私たちはすべてをかけて戦い、戦うチームでありたかった。日本にはレベルの高い選手がいて、我々のミスをことごとく突いてきた。しかし、厳しい状況から立ち直るこのチームの回復力が、今日の違いを生んだ。私たちは勝つための戦い方を誇りに思っている」と胸を張った。

日本代表のフランスでの戦いは2勝2敗で幕を閉じ、ジェイミージャパンの7年半の旅路は終わった。大会はこれから決勝トーナメントが行われるが、日本代表は帰国し、再び、2027年、オーストラリア大会の道のりが始まる。次大会こそ、世界の強豪を破り、ベスト8に入るブレイブブロッサムズが見られることに期待したい。

投稿者

ラグビー好きの食いしん坊

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