2023年10月21日土曜日

ラグビーワールドカップ2023フランス大会準決勝

Saint-Denis Stade de France 収容客数81,338人(テレビ観戦)

16 - 15 SPRINGBOKS勝利

SPRNGBOKS

連覇に向けて充実の戦力

9月8日にフランスで始まったラグビーワールドカップ2023もベスト4が出揃い、10月20日(金)21日(土)は準決勝が行われる。21日(土)は、2度目の優勝を狙うイングランド代表世界ランキング5位)と、連覇を目指す南アフリカ代表世界ランキング1位)が激突する。両者の対戦は2019年ワールドカップ決勝と同じカードである。

プールBを2位通過で決勝トーナメントに進んだ「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表。開催国フランスとの準々決勝では、シーソーゲームを29-28と1点差で制し、3大会連続で4強入りを果たした。

ジャック・ニーナバーHCは、勝利したフランス代表戦からメンバー変更なく、全く同じ23名でイングランド代表戦に臨む。15人が前回大会の決勝に出場した経験豊富なメンバーだ。

PRスティーヴン・キッツォフ、フランス・マルハーバ、HOボンギ・ンボナンビの3人がフロントローを担う。LOは4戦連続の先発となるエベン・エツベスと、フランコ・モスタート(三重ホンダヒート)の2人。FLはキャプテンのシヤ・コリシピーター ステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)、NO8は日本でもプレーしたドウェイン・フェルミューレンが務める。

ハーフ団はSHコーバス・ライナーとSOマニー・リボックの2人。CTBはダミアン・デアレエンデ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と、ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)のコンビ。WTBは大会後に東京サントリーサンゴリアスに加入のチェスリン・コルビとカート リー・アレンゼ、FBはダミアン・ウィレムセが入った。

ベンチも変わらずHOデオン・フォーリー、PRオックス・ンチェとヴィンセント・コッホ、LOはRG・スナイマン、FLクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)。BKはSHファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、SOハンドレ・ポラード、昨季までトヨタヴェルブリッツに在籍したFBウィリー・ルルーが控える。

ニーナバーHCは「先週の日曜日にプレーした全員が、個人としてもチームとしても適切なパフォーマンスを見せたと感じた。ケガ人もいなかったし、メディカル面でもパフォーマンス面でも変更する理由はなかった。それで同じメンバーで行くことにした」。

「イングランドは質の高いバックローを擁している。しかし、我々のバックローを見れば、全員が2019年の決勝戦に先発し、調子を上げてプレーしている。私たちは4つ歳を取ったのだから、100%の自信はない。年長者の多いチームとはそういうもので、経験は積めるが、身体が痛むことで継続性が失われることもある」と控えめに語った。

キャプテンのFLコリシは、「イングランドと南アフリカのライバル関係は、私の時代よりずっと前からあった。大きな国、大きなチームだから、トゥイッケナムで対戦するのはいつも特別だ」。

「イングランドはハードにプレーする。ワールドカップの決勝戦の後、次の試合には負けた(2021年11月/26-27)。滅多に対戦できないので、いつもビッグゲームになる。イングランドがどれだけ優れているか、ワールドカップでどんなプレーをするか知っている。しかし、相手が誰であろうと関係ない。この試合を乗り切らなければならない」と話した。

南アフリカ代表としては武器であるセットプレー、接点、そして準々決勝で機能したオープンサイドへのハイパントキックで相手にプレッシャーをかけたい。またベンチから出場する選手たちの経験値も頼りになるはずだ。

イングランドラグビー協会エンブレム

母国の意地を見せたい

日本代表と同じプールDを全勝で首位通過したイングランド代表。準々決勝では、8月のテストマッチで敗れたフィジー代表と対戦。もつれる展開となったが30-24で勝利し、ベスト4のうち、唯一無敗で2大会連続準決勝進出を決めた。

スティーブ・ボースウィックHC(ヘッドコーチ)は、フィジー代表選からFW(フォワード)2名、BK(バックス)1名の先発を変更。

PR(プロップ)エリス・ゲンジとLO(ロック)オリー・チェッサムがベンチに下がり、PRジョー・マーラー、LOジョージ・マーティンが先発に入った。FB(フルバック)にフレディ・スチュワードが復帰し、フィジー代表戦でFBを務めたマーカス・スミスはメンバー外となった。

それ以外は同じで、第1列はPRマーラー、ダン・コールのベテランコンビとHO(フッカー)ジェイミー・ジョージの3人。LOはマロ・イトジェとマーティン、バックローはFL(フランカー)が副将のコートニー・ロウズトム・カリー、NO8(ナンバーエイト)はベン・アールが引き続き務める。

BKは、ハーフ団は変わらずSH(スクラムハーフ)アレックス・ミッチェルとキャプテンSO(スタンドオフ)のコンビ。CTB(センター)にはマヌ・ツイランギとジョー・マーチャント。バックスリーはWTB(ウイング)エリオット・デイリージョニー・メイとFBスチュアードの3人となった。

リザーブにはHOセオ・ダン、PRゲンジとカイル・シンクラー、LOチェッサム、NO8ビリー・ヴニポラ、SHダニー・ケア、SOジョージ・フォード、CTB/WTBオリー・ローレンスが控える。

ボースウィックHCは「南アフリカは世界ナンバーワンのチーム。昔から伝統的なセットプレーのパワーがある。勝負強いキックゲームも大きな強みだ。この4年間で彼らのゲームに加わったことの1つは、ボールの動きとエッジでのスピードだ。パワーとサイズがぎっしり詰まったチームでもある。彼らはベンチから非常に強い選手を出してくる」。

「だが、我々もかなり強いチームだ。ベンチもかなり強力だ。私たちは自分たちのことに集中している。このチームは進歩しているし、常に強い信念がある」と語気を強めた。選手の入れ替えについて指揮官は「私は選手全員を評価し、中6日ということで、先発とベンチのメンバーを少し変えることにした。マーカス・スミスは脳震盪の復帰プロトコルの関係で選考から外れた」と説明した。

キャプテンのSOファレルは、「僕たちは準決勝のような場で自分たちの力を最大限に引き出すことについて話してきた。それは必ずしも目新しいことでも、いつもと違うことでもない。このチームには、ビッグゲームの勝ち方を知っている選手がたくさんいる。この1週間、自分たちの経験や気持ちをかなりオープンにしている」。

そして、試合会場でキック練習をする機会がないことについては「先週もそうだった。自分がマルセイユでプレーするのは初めてだった。それは変わらない。ポストが似ていることを願うよ(笑)」と笑顔も見せていた。

イングランド代表としては相手の強みであるセットプレー、接点で互角に戦いつつ、SOファレルらのキックで得点を重ねて、前回大会決勝のリベンジを果たしたい。

イングランド代表と南アフリカ代表は過去45回の対戦でスプリングボクスの27勝2分16敗。ワールドカップでは過去5度の対戦で南アフリカ代表が4勝し、イングランド代表が勝ったのは優勝した2003年のオーストラリア大会のみだ。2019年の決勝ではスプリングボクスがイングランドを32-12で下している。

前回大会決勝と同じカードとなったイングランド代表と南アフリカ代表のビッグマッチは、21日(土)現地時間午後9:00(日本時間22日午前4:00)に、パリ近郊・サン=ドニにある「スタッド・ドゥ・フランス」でキックオフされる。

雨中の死闘

前回大会決勝と同じカードは、最後まで勝負のわからない激闘となった。ラグビーワールドカップ2023もベスト4が出揃い、10月21日(土)、パリ近郊のサン=ドニにある「スタッド・ドゥ・フランス」で2度目の優勝を狙うイングランド代表世界ランキング5位)と、連覇を目指す南アフリカ代表世界ランキング1位)が対戦した。

両者は過去に45回対戦し、「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表の27勝2分16敗。ワールドカップに限ると南アフリカ代表が4勝し、イングランド代表が勝ったのは優勝した2003年大会のみだ。2019年大会決勝では横浜でスプリングボクスが、イングランドを32-12で下して優勝した。

プール戦から唯一の全勝チームであるイングランド代表は前回大会のリベンジを目指した。準々決勝からFW(フォワード)2名、BK(バックス)1名の先発を変更した。

PR(プロップ)エリス・ゲンジと、LO(ロック)オリー・チェッサムがベンチに下がり、PRジョー・マーラー、LOジョージ・マーティンが先発。FB(フルバック)にフレディ・スチュワードが復帰し、フィジー代表戦でFBを務めたマーカス・スミスはメンバー外となった。

それ以外は変わらず、FWは副将のFL(フランカー)コートニー・ロウズを筆頭に、PRダン・コール、HO(フッカー)ジェイミー・ジョージ、LOマロ・イトジェ、FLトム・カリーら経験豊富な選手が揃った。

BKもキャプテンのSO(スタンドオフ)を中軸に、SH(スクラムハーフ)アレックス・ミッチェル、CTB(センター)マヌ・ツイランギ、バックスリーはWTB(ウイング)エリオット・デイリージョニー・メイが先発した。

一方、アイルランド代表に敗れて、プールBを2位通過で決勝トーナメントに進んだ南アフリカ代表。勝利した準々決勝のフランス代表戦からメンバー変更なく、全く同じ23名で臨んだ。うち15人が前回大会の決勝に出場し、優勝を経験したメンバーである。

FW第1列はPRスティーヴン・キッツォフ、フランス・マルハーバ、HOボンギ・ンボナンビの3人。LOエベン・エツベスと、フランコ・モスタート(三重ホンダヒート)。FLはキャプテンのシヤ・コリシピーター ステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)、NO8は日本でもプレー経験のあるドウェイン・フェルミューレンが務める。

ハーフ団はSHコーバス・ライナーとSOマニー・リボックの2人。CTBはダミアン・デアレエンデ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と、ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)。WTBチェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス)とカートリー・アレンゼ、FBはダミアン・ウィレムセが入った。

ベンチも変わらずHOデオン・フォーリー、PRオックス・ンチェとヴィンセント・コッホ、LOはRG・スナイマン、FLクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)。BKはSHファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、SOハンドレ・ポラード、昨季までトヨタヴェルブリッツに在籍したFBウィリー・ルルーが控える。

小雨が降る中、フィジカルが武器の両チームの試合はキックオフされた。試合は序盤から前回大会のリベンジに燃えるイングランド代表が、ハーフ団からのハイパントキックを軸に主導権を握る。

前半3分、キッキングゲームで敵陣に入ると相手の反則を誘って、SOファレルが中央からPG(ペナルティゴール)を決めて3-0と先制に成功。10分にも再び、SOファレルがPGを沈めて6-0とした。13分、南アフリカ代表は相手陣で反則を得らが、PGを選ばずタッチからモールでトライを狙いにいったが、イングランド代表FW陣が奮闘し、得点を許さなかった。

21分には南アフリカ代表SOリボックがPGを決めて6-3、しかし24分、すぐにイングランド代表のSOファレルがPGを返して、9-3として再び6点差とする。その後、35分にはスプリングボクスは途中出場のSOポラードが、39分にはイングランド代表SOファレルがそれぞれPGを決めて、前半は互いにノートライのまま12-6で前半を折り返した。

後半序盤、ゲームをコントロールしていたイングランド代表が相手ゴール前でチャンスを得たが、ラインアウトのミスなどで得点を重ねることができない。しかし13分、カウンターラックを成功させた後、SOファレルが50m近いDG(ドロップゴール)を決めて15-6と、1トライ1ゴールで逆転されない9点差にリードを広げた。

だが、南アフリカ代表も早めにベンチメンバーを入れ、PRンチェ、LOスナイマン、FLスミスらが入ると、スクラムで相手を圧倒し始める。27分、スクラムでペナルティを得た後、SOポラードがタッチに蹴って、残り10mの地点でラインアウトを得る。

29分、ラインアウトを起点もモールを押し込むと見せかけて、FLフォーリが抜け出してゲイン、最後はLOスナイマンが右中間に押さえてトライ。ゴールも決まり13-15と2点差に追い上げる。

緊迫した状況の中、36分、イングランド代表FLスチュワートが自ら蹴ったハイパントキックをノックオン。38分、ハーフウェイライン付近でスクラムを得た南アフリカ代表は反則を誘って、PGの機会を得る。中央右50mほどのPGを、SOポラードがしっかりと決めて16-15と、この試合初めて逆転に成功する。

残り3分ほど、南アフリカ代表は落ち着いて試合を締めて、得点、ペナルティを与えず、そのままノーサイドを迎えた。ディフェンティングチャンピオンで、4度目の優勝を狙う南アフリカ代表が、2大会連続4度目の決勝進出を決めた。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には前半途中から入り、ロングキックと逆転のPGで勝利に貢献したSOポラードが選出された。「信じられないくらい、この瞬間は安堵している。特に前半はベストの状態ではなかったのが悔やまれる。イングランドはいいところでプレッシャーをかけてきた』。

「でも、決してあきらめないファイトを見せたことは、チームとして、そして国としての誇りだ。(最後のPGは)大きな瞬間だったが、この舞台でSOとしてあのような瞬間を迎えることは、選手にとって最高の仕事だし、楽しかった」と冷静に振り返った。

惜しくも敗れたイングランド代表のスティーブ・ボースウィックHC(ヘッドコーチ)は「まさにテストマッチだった。チーム全体のパフォーマンスは強かったと思う。試合に勝つためのプランを持って臨んだが、少し足りなかった」。

「でも、このチームの23人のうち7人が25歳以下で、ベスト4の中では最も多い人数だ。世界王者相手に勝てる位置につけたのだから、選手たちは誇りに思っていい。選手たちはイングランドのためにプレーすることの意味を示してくれた」と胸を張った。

キャプテンSOファレルは「がっかりしているが、信じられないほど誇りに思う。すべてが思い通りにいったわけではないが、自分たちは今日のようなパフォーマンスを作り上げ、それでも最終的に南アフリカのような素晴らしいチームに及ばなかった」。

「試合前からいい勝負になるだろうと分かっていた。試合を通して見せた自分たちのファイトは勝つのに十分だったが、残念ながらその点で南アフリカの方が少し上回っていたと思う」と悔しそうに話した。

最後の最後で逆転勝利を収めた南アフリカ代表のジャック・ニーナバーHCは「私はまず、イングランドを大いに称えなければならない。今日のイングランドは素晴らしかった。彼らは非常に優れた戦術プランを持っていて、私たちに大きなプレッシャーをかけてきた」。

「もし、ニュージーランドが同じ戦術を使うようなことがあれば、私たちはその点を改善しなければならない。今夜はそれを理解するのに時間がかかった。思い通りにいかなくても、結果を出す方法を見つける。選手たちは試合の足がかりをつかむのに70分はかかったと思う。最後まであきらめずに戦った。それがこのチームの強みだろう」と語気を強めた。

キャプテンFLコリシは「イングランドはワールドクラスのチームで、1年前とはまったく違う。今日のイングランドは素晴らしいゲームプランを持っていた。この試合から得たものは、勝利を得るために徹底的に戦うことができたという事実だ」。

「また、カップを守れる立場になれたことに感謝している。どんなに醜くても関係ない。南アフリカが勝ったんだ。国中が私たちを応援してくれていることを実感している。人々がどのように感じ、どのような恩恵を受けているかを語っているビデオも見た。テレビを持っていない人たちがショッピングモールに行って、私たちのプレーを見るために一緒に座っているような国は世界中どこにもないと思う」。

「それこそがチームの原動力だ。自分たちが南アフリカだけでなく、アフリカ大陸全体を代表しているという自覚があるから特別だ。私たちが成功すれば、アフリカ全体が勝利することになる」とまっすぐに前を向いた。

イングランド代表は銅メダルをかけて、10月27日(金)にアルゼンチン代表と3位決定戦を戦う。4度目の栄冠を目指す南アフリカ代表は28日(土)に、同じく4度目の優勝を狙う「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表とのファイナルを迎える。

★イングランドvs.南アフリカ戦の試合データ(https://www.jsports.co.jp/rugby/worldcup/widget/?kd_page=rwc_match_117)

投稿者

ラグビー好きの食いしん坊

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