2024年2月2日金曜日
2024 Six Nations 第1節
Saint-Denise Stade de France 収容客数81,338人(テレビ観戦)
38 ー 17 Ireland勝利
【シックスネーションズ2024】開幕戦のフランス×アイルランドから白熱必至。9番デュポンは不在も、レ・ブルーには好調リュキュがいる。
今週末、シックスネーションズが始まる(現地時間2月2日、21時/日本時間2月3日、午前5時)。今年の開幕を飾るのは、フランス×アイルランドの優勝候補の2か国の対戦だ。
フランスは、SHアントワンヌ・デュポンが7人制ラグビーでパリ五輪を目指すため今大会は不在。アイルランドはSOジョニー・セクストンが引退した。
キャプテンかつプレーメイカーだった2人を欠く両チームが、どのように戦うのか注目される。
フランス代表はこれまで通りデュポンの不在時にキャプテンを務めていたFLシャルル・オリヴォンが継続してキャプテンを務めると予想されていたが、2027年に向けて新たな4年のサイクルをスタートするにあたり、スタッフはNO8のグレゴリー・アルドリットをキャプテンに選んだ。
「シャルル・オリヴォンはフランス代表チームのリーダーであり、チームメイトからもスタッフからも高く評価されているキャプテンだが、主力選手たちのリーダーシップを成長させたいと考え、話し合いの結果、ワールドカップ(以下、W杯)の南アフリカ戦からシックスネーションズのアイルランド戦に移る前に引き継ぎがあった方が良いと判断した。グレッグ(アルドリット)が適任だという結論に至った」とファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)は経緯を明らかにした。
苦痛をいとわず、80分間ハードワークし、闘い続ける姿を見せるアルドリットを、このチームの新しいシンボルに選んだのである。
「まず彼のプレーのレベル。また彼の年齢(26歳)から考えると、2027年のオーストラリア大会でもプレーできるだろうということ。もちろんシャルル(オリヴォン)も次の大会に連れて行きたいが、グレッグはシャルルより4歳若く、彼がキャプテンを務める番が来た」と加えた。
「グレッグはスコットランドにルーツを持ち、(所属クラブの)ラ・ロシェルではアイルランド人のコーチ(ロナン・オガーラ)の下でプレーしており、英語が堪能であるだけでなく、アングロ=サクソンのメンタリティーを理解している。レフリーと話すのは1人の選手だけでいい」
W杯の南アフリカ戦では、デュポンがレフリーとのコミュニケーションに苦労し、いろいろな選手がレフリーに訴えている姿が見られた。その反省である。
デュポンに代わって9番のジャージーを着るのは、マキシム・リュキュだ。
リュキュはSHのポジションだけではなく、代表チームのリーダーグループでもデュポンの不在を埋める。昨季終盤から所属しているボルドーでキャプテンを任され、リーダーとしての成長も感じられる。
コンビを組むSOマチュー・ジャリベールとはボルドーでも共にプレーしており、「声をかけなくても僕がどこにいるか、何がしたいのかわかってくれている」とジャリベールが言うほど息のあった2人である。
このコンビが、ボルドーで毎週末見せているような、またW杯のイタリア戦で見せたような勢いのある攻撃がアイルランド相手にもできるのか注目したい。
このアイルランド戦のメンバーで最も大きなサプライズは、LOポール・ガブリヤーグ(30歳、16キャップ)の復活だ。
ガブリヤーグは2019年W杯準々決勝以後、代表から遠ざかっていた。現在LOチボー・フラマンが足を負傷しているため、この準備合宿で久しぶりに代表に召集され、先発出場のチャンスを掴んだ。
FLアントニー・ジュロンも膝前十字靭帯断裂で長期離脱を余儀なくされており、運動量の多いカメロン・ウォキよりも、フィジカルが強く、ラック周辺の影の仕事やタックルを次々とこなすガブリヤーグが選ばれた。
またBKでは、W杯で4試合に先発出場し、4トライを上げた超速WTBルイ・ビエル=ビアレをベンチに配し、こちらもフィジカルの強さが持ち味のヨラム・モエファナにスタートさせることにした。
「試合のスタートは、スピードよりも(フィジカルの)ファイトを選んだ」とガルチエHCが2人を先発に選んだ理由を説明すると、「カメロン(ウォキ)とルイ(ビエル=ビアレ)はXファクターとなってくれるだろう」と新しくアタックコーチになったパトリック・アルレタズが付け加えた。
補足だが、W杯で代表引退を表明していたPRウィニ・アトニオは、所属クラブのラ・ロシェルのロナン・オガーラHCに考え直すように説得され、引退を延期して今回もメンバーに入っている。
LOロマン・タオフィフェヌアも引退を取り消してフィニッシャーに名を連ねている。
またW杯に引き続き、トマ・ラモスが今回も15番に入っている。
しかしラモスが所属しているトゥールーズでは、SOロマン・ンタマックがまだ膝の負傷から復帰しておらず、ラモスはW杯後、トゥールーズで10試合に出場し、そのうち9試合がSOで、FBでプレーしたのは1試合だけである。
それでもラモスがFBに選ばれ続け、さらに離脱したジュロンに代わってリーダーグループにも入った。時間はかかったが、今やスタッフの確かな信頼を得て、代表チームになくてはならない選手になっていることが伺える。
フランス、アイルランド共に前回のW杯では初優勝が期待されていたにもかかわらず、準々決勝で敗退した。ネガティブな流れを引き摺らないためにも、どちらも今大会で優勝したいところだ。
初戦から決勝さながらの試合が期待される。
シックスネーションズ開幕戦でアイルランドがフランスを撃破。
マルセイユ(フランス)のスタッド・ヴェロドロームで現地時間2月2日、欧州強豪6カ国が競う「シックスネーションズ」が開幕。ディフェンディングチャンピオンである世界ランキング2位のアイルランド代表が同4位のフランス代表を38-17で下し、敵地で好スタートを切った。
両チームとも、昨秋のワールドカップでキャプテンを務めた大黒柱が今大会にはいない。フランスのSHアントワンヌ・デュポンは今年夏に自国のパリで開催されるオリンピックを目指してセブンズ(7人制ラグビー)に挑戦するため欠場となり、アイルランドの英雄であるジョニー・セクストンは引退した。
新しいリーダーや若い選手の輝きも注目されるなか、フランスのベテランLOポール・ヴィレムサが前半にカードを2度提示され、退場となったのが勝敗に大きく影響した。
まず前半7分に危険なプレーでイエローカードをもらうと、数的有利となったアイルランドが優勢にゲームを進め、15分、CTBバンディー・アキのブレイクからチャンスとなり、オフロードパスをもらったSHジェイミソン・ギブソンパークがゴールへ走り抜け、最初のトライゲッターとなった。
アイルランドは、29分にもテンポよくフェイズを重ねてLOタイグ・バーンが中央を抜け、ゴールに持ち込んだ。
序盤に先制のペナルティゴール(PG)を決めていた10番のジャック・クロウリーは、コンバージョンでも着実に得点を重ねた。
そして31分、フランスのLOヴィレムサがまたも危険なタックルで2度目のイエローカードを提示され、レッドとなり、退場処分となってしまった。
フランスは26分のPGに続き、39分にも反撃してWTBダミアン・プノーがトライを決め、7点差に詰めて折り返したが、苦しい展開となった。
後半も先に得点したのはアイルランドで、45分(後半5分)、PRアンドリュー・ポーターがブレイクダウンで奮闘して相手の反則を引き出し、敵陣深くに入ると、根気よくフェイズを重ねてLOジョー・マカーシーやWTBジェームズ・ロウなどの力強いボールキャリーもあって少しずつ相手のディフェンスを崩し、CTBロビー・ヘンショウが切り込んでゴールに迫り、サポートしたNO8ケイラン・ドリスが左外のWTBカルヴィン・ナッシュにつなぎ、トライが生まれた。
フランスは52分にLOポール・ガブリヤーガがゴール前のピック&ゴーでトライを挙げ、食らいついたが、アイルランドは61分に再び攻め込み、ラインアウトからモールで前進し、HOダン・シーハンが持ち出してインゴールに突っ込み、リードを拡大。結局、最後までアイルランドの優勢は続き、77分にもドライビングモールで加点し、勝負は決まった。