ラグビーワールドカップ1987 NZ・ Australlia大会決勝
1987年6月20日土曜日 NZ Auckland Eden Park Stadium 観客数48,035人(テレビ観戦)
29 - 9 ALL BLACKS優勝!
準備万端のALL BLACKS
共同開催国のNZは予選グループではFijiに 74-13 、Italyに 70-6、Argentinaに 46-15。決勝トーナメントに入って、準々決勝のScotlandに 30-3、準決勝のWalesに 49-6 と危なげなく、というより他を圧倒して勝ち上がってきた。 決勝戦の舞台は首都AucklandのEden Park Stadium。48,000人を超える地元の大観衆の前で、記念すべき初優勝を狙う。メンバーは特にBKが印象深い。キャプテンのSHデイヴィッド・カークは知性的なゲームメイクが光る。(この人は後に医師になった。)とんでもない飛距離のキックを持つSOグラント・フォックス。(飛距離だけでなく正確さも超一流で大会得点王にもなった。)190cmの大型WTBジョン・カーワン(逆サイドの同僚WTBクレイグ・グリーンと共に6トライで初代大会トライ王。)FWでは、ボールのあるところに必ず現れる脅威のスタミナ男、オープンサイドFLマイケル・ジョーンズ。その他のポジションにも歴史的な名選手がズラリと並ぶ。戦術的にも最先端で、ドライビングモールやフェイズアタックなど、見たこともない戦い方をしていた。試合を観ているとどの局面でも人数的に相手チームを圧倒していて「黒い絨毯が襲いかかってくる」と形容されていた。欧州の強豪国がワールドカップ開催に懐疑的だった頃からチーム力の強化に努めていたらしく、その強さは別格だった。
魅惑のシャンパン・ラグビー
一方のFranceは予選プールではScotland相手に 20-20 の引き分けるなど、ALL BLACKSほどの圧倒的な強さは感じられなかったものの、準決勝では地元の大声援を受けたWallabiesを劇的な逆転トライを奪って撃破した。勢いに乗った攻撃時には、BK・FW問わずどこからともなくサポートが湧いてくる。その戦い方は「シャンパン・ラグビー」と表現された。こちらのメンバーにも、準決勝のWallabies戦で劇的な逆転トライを決めたエースFBセルジュ・ブランコや世界一のCTBと呼ばれたフィリップ・セラ、攻撃センスに優れたSHピエール・ベルビジェといったタレント揃いのBKに加えて、FWにも闘志溢れるFLエリック・シャンなど世界的な選手が名を連ねる。それでもやはりALL BLACKS優位は動かないところだが、Franceの意外性(失礼な表現ながら…)に期待したい。
締まった試合展開ながら次第にALLBLACKS優位に…
試合はALL BLACKSが敵陣で試合を進めるもFranceも堅い守りで応戦、得点が中々生まれない展開。ミスの少ない引き締まった試合展開が繰り広げられる。初めての得点シーンは前半15分。敵陣で得たフリーキックの場面で、SHデイヴィッド・カークからパスを受けたSOグラント・フォックスがDGを決め、ALL BLACKSが3点先制する。ALL BLACKSは続く前半18分にもSOグラント・フォックスがDGを狙う。このキックは決まらなかったが、FranceのWTB パトリス・ラジスケが処理にもたつく間にALL BLACKSのFLマイケル・ジョーンズがボールを奪いFranceのFBセルジュ・ブランコのタックルも外しトライを決める。トライ後のコンバージョンキックも決まり、ALL BLACKSが 9-0 とリードして前半を終える。
後半5分にはFranceもWTBのディディエ・カンベラベロがPGを決めて3点を返す。しかしFranceは自陣でペナルティが重なり、ALL BLACKSのSOグラント・フォックスに後半7分、後半18分と続けてPGを決められ 15-3 と点差が広がる。後半24分敵陣でマイボール・ラインアウトを得たALL BLACKSは、モールからボールを展開、SOグラント・フォックスからFLマイケル・ジョーンズと繋ぎ、最後はSHデイヴィッド・カークがパスを受けてゴール右端にトライを決める。キャプテンのトライで勢いづくALL BLACKS。直後の後半26分にFranceのキックオフのボールをキャッチしたSHデイヴィッド・カークが、No.8のウェイン・シェルフォードにパス。最後にWTBジョン・カーワンにパスし、カーワンが今大会6トライ目となるトライを決めた。点差はこの時点で 23-3 となり、さらに後半30分、38分にもALL BLACKSがPGで得点を重ねる。Franceも試合終了間際にSHのピエール・ガルビジェが意地の1トライを返すが、ここでノーサイド。ALL BLACKSが名誉あるW杯初代王者に輝いた。この大会の概要についてはコチラ。この大会にちなんだ記事はコチラ。
2023年4月1日土曜日からは J SPORTS で「ラグビーワールドカップ100選!」が放送・配信予定。
2023年9月9日土曜日からは J SPORTS で「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」が放送・配信予定。
2023年7月8日土曜日からは WOWOW で南半球4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」が6試合放映予定。