ラグビーワールドカップ1995南アフリカ大会予選プールD組最終戦
1995年6月3日土曜日
Pretoria Loftus Versfeld Stadium 収容客数51,762人(テレビ観戦)
22 - 19 France勝利
優勝候補の一角
FranceはWallabies、ALL BLACKS、SPRINGBOKSと並ぶ優勝候補の一角。ベテランCTBフィリップ・セラとキッカーを務めるCTBティエリー・ラクロワ、WTBエミール・ヌタマック、キャプテンでWTBのフィリップ・サンタンドレなどBKには世界的なタレントが揃う。気まぐれな国民性のせいか強さと脆さが同居するチームで、強豪相手に勝つ事もあればティア2の国に苦戦する事もある。1995年のFive Nationsでは苦杯をなめたScotland相手にW杯の舞台で雪辱なるか。
ギャビン・ヘイスティングスのキックが頼り
ScotlandのキャプテンでFBのギャビン・ヘイスティングスはここまでのW杯通算得点が198点でトップ。その精度の高いキックでScotlandを勝利に導いてきた。Scotlandの戦法はシンプル。密集でのボール争奪戦でFWが踏ん張り、ヘイスティングスのキックで陣地を前進させ、相手のペナルティを誘ってはヘイスティングスのPGで得点する。爆発的な得点力こそないが、セットプレーで反則なくボールを確保出来れば、最大の武器であるヘイスティングスのキックが安定しているだけに、France相手にも十分勝機はある。
激しい肉弾戦
お互いに負けられないのは、負ければ次の相手はALL BLACKSになるからだ。もし勝てば対戦相手はIreland。こちらも簡単な相手ではないが、準々決勝で優勝候補の筆頭ALL BLACKSとの対戦は避けたい。
試合が始まるとScotlandの動きが良く、相手を良く研究している。スクラムは劣勢だがダイレクトフッキングでマイボールを確保する。ラックを多用し、攻める方向転換の頻度が高く、ディフェンスの的を絞らせない。ディフェンスラインが前に出ると、SOクレイグ・チャーマーズやFBギャビン・ヘイスティングスがキックで陣地を取る。
一方のFranceは優勢なスクラムを起点にして、BKにボールが供給されればWTBエミール・ヌタマックらがラインブレイクを見せる。Scotlandは粘りのディフェンスでトライを許さない。激しいぶつかり合いが続き、お互いに得点を許さない時間が続いていく。
前半33分にScotlandのギャビン・ヘイスティングスがPGを決めてこの試合初めての得点が生まれるとFranceも前半35分にCTBティエリー・ラクロワがPGを決め返す。しかしScotlandはこの時間帯に勢いがあり、36分にPGを、38分にはFLロブ・ウェインライトがトライを決め、前半は 13-3 とScotlandの10点リードで後半へ向かう。
Franceにサイズで劣るScotlandだったが、コンタクトの局面で当り負けしない。しかし後半半ばにはFWに疲れが見え始める。疲れのせいで判断も鈍ったか、後半16分、20分と続けてタックルミスによるPGを決められ 13-9 に詰め寄られる。この後、互いに2PGずつ決め合い、19-15 の4点差のまま試合は終盤へ。ScotlandはここまでFranceをノートライに押さえていたが、ラストワンプレーとなった試合終了直前、22mライン内側でペナルティを得たFranceはクィックタップからボールを繋ぎ、WTBエミール・ヌタマックがトライ。Franceが劇的な逆転勝利を挙げた。