ラグビーワールドカップ2003オーストラリア大会予選プールC組
2003年10月26日日曜日
Melbourne Telstradome 収容客数56,347人(テレビ観戦)
35 - 22 England勝利
England初優勝なるか
Englandはキックの名手SOジョニー・ウィルキンソンを擁し初優勝を目指す。キャプテンのLOマーティン・ジョンソン、FLリチャード・ヒル、No.8ローレンス・ダラーリオといった大型FWが密集戦で獲得したボールをウィルキンソンがパントキック。敵陣に入ると密集戦で反則を誘ってはPGで、或いは敵陣で隙を突いてDGを決めるのが得点パターン。ディフェンスも強力で前週はSPRINGBOKSをノートライに押さえて勝利した。
展開力で勝負
SamoaはこれまでのW杯で2度決勝トーナメントに進出。W杯で2度もティア1のWalesに勝利している。タックルが強くコンタクトが激しい。BKの展開力に優れ、特にW杯4回目の出場となるCTBブライアン・リマは世界的なスタープレーヤーでタックルも強く決定力も備える。チームとしての長所であり欠点でもあるのが気性の激しさ。競技の特質上、欠かせない資質であると同時に危険なプレーにもなり得る。自制心を持ってプレーしボールを展開する展開になれば面白い。Samoaは国外のプロリーグ(NZやEnglandなど)でプレーする選手も多く契約上W杯でプレー出来ない選手もいるのは残念。
Samoaの大健闘
両者のこれまでの戦績はEnglandの2勝無敗。Englandは1994年12月のTwickenhamでのテストマッチでは27-9で、W杯では1995年に南アフリカで対戦し 44-22 でそれぞれSamoaを撃破している。Samoaは油断出来ない相手だが戦前の評価はEnglandが優位。
先制点は前半3分。SamoaのSO アール・バァ-がPGを決めた。その後もSamoaは自陣からワイドにボールを展開しキャプテンのNo.8セモ・シティティ がトライを決めて 10-0 とリードを広げる。狙い通りのプランでSamoaがゲームを優位に進める。
Samoaは心配された規律の面で綻びが出る。互いにPGの失敗の後、前半25分にラックでPR カス・リアラマヌアが思わず手を使う。Englandはこのペナルティからウィルキンソンのキックで敵陣に入ると、ラインアウトからモールを組み、最後はEnglandのFLニール・バックがトライ。続く前半27分にも自陣で反則をしてしまい、PGを決められて同点を許してしまう。
しかしこの試合のSamoaはまだ崩れない。当初のプラン通り自陣からでも徹底して外に展開し敵陣に入ると、密集でEnglandの反則を誘う。前半31分、34分と連続してPGを決める一方、Englandの反撃を 1PGのみに抑え、前半はSamoaが3点リードで後半へ折り返す。
後半が始まってもSamoaの健闘が光るが、後半9分EnglandはPRを2人とも交代させてスティーヴ・トンプソンとフィル・ビィッカリーが入ると一気にEnglandが優勢となる。後半11分にゴール前のスクラムでペナルティトライを得て逆転。その後、一時はSamoaが2PGで逆転するが、後半23分にウィルキンソンのDGで再逆転されると、力尽きた。後半30分、35分にEnglandの連続トライが決まり、熱戦に終止符が打たれた。
結果的にEnglandが地力を発揮して13点差がついたが、ウィルキンソンのキックがやや不調だったこともあり、Samoaの大健闘が光った試合。後半20分過ぎまではシーソーゲームの展開が続き、Samoaの大金星なるか、という試合だった。この大会優勝することになるEnglandを苦しめたSamoaは本当に立派だった。