2023年9月23日土曜日
ラグビーワールドカップ2023フランス大会予選プールC組
Toulouse Stade de Toulouse 収容客数33,150人
18 - 18 今大会初のドロー
強力スクラムで押し切るか
混戦が予想されていたプールCでは、現在、ウェールズが2勝をあげてトップに立ち、これを、1勝1敗のフィジーとオーストラリアが追う展開だ。黒星スタートとなったジョージアとポルトガルは、9月23日(土)、トゥールズで対戦する。両者は長らくヨーロッパの好敵手として戦ってきた。今年のラグビーヨーロッパチャンピオンシップ決勝(3月19日)でも対戦し、38-11でジョージアが勝っている。この試合を含め直近の18試合でジョージアはポルトガルには負けていない。ただし、2022年2月6日の25-25を含む3試合の引き分けがあり、力の差は大きくない。
現在の世界ランキングはジョージアが13位、ポルトガルが16位。今大会のジョージアは初戦(9月10日)でオーストラリアと対戦し、15-35で敗れたが、ボールをよく動かし、フランスのポーに所属するNO8ベカ・ゴルガゼが再三ディフェンスを突破。同じくフランスのビアリッツでプレーするFLトルニケ・ジャラゴニアが17回のタックルを100%決めるなど健闘していた。
ジョージアは、中12日という間隔での試合になり逆に調整が難しかったかもしれない。メンバーは1戦目からFW、BKともに4人を変更する。ハーフ団を1戦目の先発とリザーブで入れ替えたのは興味深い。先発するのはSHゲラ・アプラシゼ、SOテド・アブジャンダゼの2人。ゲラはモンペリエ、テドはモントーバンと2人ともフランスのクラブに所属する。トライゲッターはWTBアカキ・タブツゼ。今季のテストマッチ9試合にすべて先発し、10トライをあげている。また、CTBギオルギ・クヴェセラゼがこの試合で50キャップを獲得。身長203cmのLOノダール・チェイシヴィリはリザーブだが出場すれば50キャップとなる。
スクラム自慢のジョージアがプレッシャーをかけ、ポルトガルの攻撃力を封じ込めるのか、それともポルトガルがスクラムでも健闘し、2007年以来、2度目のラグビーワールドカップで出場で悲願の初勝利をあげるのか。楽しみな試合は日本時間で9月23日午後9時にキックオフされる。
悲願の初勝利なるか
ポルトガルは今大会初戦で印象的なパフォーマンスを魅せた。
9月17日、ウェールズと対戦すると、粘り強いディフェンスとテンポの速いボール回しで健闘し、勝利の可能性を感じさせる僅差勝負を繰り広げた。ラインアウトのサインプレーでトライをあげたFLニコラス・マルチンズは、タックルも18回と両チームトップの数字を残した。攻撃面で目立ったのはFBヌーノ・ソウザ・ゲージス。身長177cm、体重80kgと大きな選手ではないが、巧みなステップでディフェンスを翻弄し、ボールを持って前進した距離でチーム内最高の106メートルを記録した。今回の試合でもジョージアのディフェンダーの脅威となるだろう。
試合間隔に差があり、ポルトガルは中5日での試合だが、メンバーはFWとBKともに2名の変更のみ。注目は既述のマルチンズ、ゲージス。キャプテンのCTBトマーズ・アプレトンは2014年に代表デビューと経験豊富で突破力がある。プレースタイルは、元フランス代表WTBのパトリス・ラジスケヘッドコーチが率いるだけに、変幻自在にボールを動かす見て面白いラグビーだ。1戦目で対戦したウェールズのウォーレン・ガットランドヘッドコーチが「ミニ・フィジー」と称するほど、個々の選手がステップワークを駆使してタックルをかわそうとする。
手に汗握る熱戦
3週目に入り、この日トゥールーズで行われた試合で、開幕から20試合目に達したラグビーワールドカップ2023。フィジーがオーストラリアを下しことで、上位争いが混沌とし始めたプールCでの生き残りを懸け、ともに1敗のジョージアとポルトガルが対戦。
ジョージアのキックオフで始まった前半は、開始2分にいきなり動きを見せる。敵陣でアタックを開始したジョージアは、フェーズを重ね着実にゲインするなか、タッチライン側のFB(フルバック)ダヴィト・ニニアシヴィリによるラインブレイクで局面を打開すると、最後はWTB(ウィング)アカキ・タブツゼが抜け出しトライ。SO(スタンドオフ)テド・アブジャンダゼがコンバージョンを決め、7-0と幸先良いスターを切る。
序盤は先制したジョージアが、キックでエリアを取りながら優位に試合を進める展開となり、16分には好位置でペナルティを得ると、キックを選択し、これをアブジャンダゼが決め、リードを広げる。その後も、試合はポルトガル陣内でプレーが展開する時間帯が続き、32分にはジョージアがアブジャンダゼのPG(ペナルティゴール)で13-0とする。
対するポルトガルは劣勢を強いられるなか、34分に自陣でアタックを開始すると、WTBハファエリ・ストルチが華麗なステップで守備ラインを突破し、個人技でトライを奪う。
これで反撃モードに移りたいポルトガルだったが、37分にPR(プロップ)フランシスコ・フェルナンデスにイエローカードが提示され、数的不利に。結局、前半はその後、ポルトガルがなんとか8点を追う状況を維持し、ジョージアが13-5と主導権を握ったままハーフタイムを迎える。
ポルトガルは後半開始から5分ほどあった数的不利の時間帯を無失点で凌ぐと、シンビン明け直前に得たPGをSH(スクラムハーフ)サミュエル・マルキが決め、ワントライ差に詰め寄る。15人に戻り、俄然勢いを増したポルトガルは、敵陣でのプレー時間を増やし始めると、13分に再びマルキのPGで3点を加え、点差はわずか2点に。
勢いを増すポルトガルは57分、敵陣でアタックを展開するなか、SOジェローニモ・ポルテーラから、逆目のオフロードパスを受けたストルチがラインブレイクすると、そのままインゴールまで持ち込みトライ。ポルトガルは一気に逆転すると、コンバージョンも決まり、18-13と優位に立つ。
しかし、ジョージアも終盤に自陣から威信を賭けたアタックを敢行。フェーズを重ねながら敵陣22mラインを割り込むと、ペナルティを獲得し、ラインアウトモールで押し込んでトライを決め、土壇場で試合を振り出しに戻した。
これに対し、ポルトガルは終了間際に敵陣でペナルティをゲットすると、FBヌーノ・ソウザ・ゲージスがPGを狙うも、これは決まらず、18-18の引き分けでノーサイドに。ポルトガルのワールドカップ初勝利は次戦以降へお預けとなった。