2023年9月30日土曜日
ラグビーワールドカップ2023フランス大会予選プールC組
Bordeaux Stade de Bordeaux 収容客数42,115人(テレビ観戦)
17 - 12 Fiji勝利
オーストラリアが9月24日のウェールズ戦に6-40と大敗し、プールマッチ2敗目を喫したことで、そのオーストラリアからすでに白星を挙げているフィジーの2007年大会以来のベスト8入りが現実味を帯びてきた。現在1勝1敗ながら勝ち点6でプールCの暫定2位につけ、残るジョージア、ポルトガルとの2戦で勝ち点7を取れば決勝トーナメント進出が決まる。ウェールズとの初戦でも26-32と熱闘を演じており、トップ8にふさわしい実力を備えていることにもはや疑いはない。
第3戦(日本時間10月1日00時45分キックオフ@ボルドー)で対峙するジョージアは、試合前時点のワールドラグビーランキングは14位。同8位のフィジーにすれば、負けられないプレッシャーがかかる難しい状況ではあるものの、チームとしてはむしろ待ち望んだ試練だろう。中12日と試合間隔も十分あり、万全の状態で臨んでくるはずだ。
一方のジョージアは初戦でオーストラリアに15-35と敗れ、続くポルトガルとの第2戦は終了間際のトライで辛くも追いついてのドロー(18-18)。ポイントテーブルでは勝ち点2の4位と、ここまで思うような結果を残せていない。ウェールズとの最終戦まで決勝トーナメント進出の望みをつなぐためには何としてもこのゲームでの勝利が必要で、こちらも強い意気込みで挑んでくるだろう。
ここまでの戦いぶりを振り返ると、看板のスクラムをはじめFWの破壊力がかつてに比べてややスケールダウンし、接点のバトルで圧力をかけきれないことが苦戦の要因となっている。ただBKにはセンス抜群のFBダヴィト・ニニアシヴィリや決定力が魅力のWTBアカキ・タブツゼら新たな才能が現れ、チーム全体の総合力は着実に向上中。2022年はイタリアに28-19、ウェールズに13-12とティア1勢から勝利を挙げており、今大会のオーストラリア戦も敗れたもののチャンスは数多く作れていた。初戦の硬さと暑さによるハンドリングエラーがなければ、もう少し違う内容になっていた可能性は十分ある。
ちなみに両者は過去6度テストマッチを戦っており、戦績はフィジーの4勝1敗1引き分け。2019年の前回大会で1度だけあるワールドカップでの対戦も、フィジーが45-10と完勝を収めている。ただ直近の対戦(2021年11月20日)は15-15と引き分けており、ジョージアもいいイメージを持ってキックオフを迎えられるだろう。
今大会の台風の目
発表された登録メンバーを見ると、フィジーはオーストラリア戦の先発15人のうち、14人をそのままスターターに起用してきた。替わったのは右WTBセレスティノ・ラヴタウマンダだけで、いい流れを継続しようという意図がうかがえる。なお23人中2021年のジョージア戦に出場しているメンバーは、PRエロニ・マウィ、HOサム・マタヴェシ、NO8ヴィリアメ・マタ、CTBチョスア・トゥイソヴァ、キャプテンのCTBワイセア・ナヤザレヴ、リザーブのPRペニ・ラヴァイ、FL/NO8アルバート・トゥイスエ、SHフランク・ロマニ、CTBヴィリモニ・ボティトゥの9人だ。
セットプレーで対抗
対するジョージアは前週から大幅に布陣を変更し、HOテンギズ・ザムタラゼ、LOラシャ・ジャイアニ、FLミヘイル・ガチェチラゼ、NO8トルニケ・ジャラゴニア、SHヴァシル・ロブジャニゼ、LOルカ・マトカヴァ、CTBデムル・タプラゼ、FBミリアン・モデバゼの8人が新たにスタメンに名を連ねた。このうちガチェチラゼはこれがワールドカップデビュー戦となる。また欠場するキャプテンのCTBメラブ・シャリカゼに替わってギオルギ・クヴェセラゼが13番から12番にシフトし、前節FBのダヴィト・ニニアシヴィリは11番に回った。
プールマッチも後半戦に入り、決勝トーナメント進出をかけた順位争いはいよいよ佳境に差しかかってきた。ここからは生きるか死ぬかの戦いが続くだけに、どの試合も今まで以上に熾烈な激戦となるだろう。
フィジーがアンストラクチャーの状況を得意とするのに対し、ジョージアは頑健なセットプレーを軸にFW戦から試合を組み立てるのがおなじみのスタイル。対照的な持ち味の両者だけに、どちらが自分たちの土俵に引き込めるかという点がこの試合の大きな見どころだ。フィジーが存分に走り回るのか。それともジョージアが気迫のコリジョンでねじ伏せるのか。好ゲームの予感はある。
Georgia大健闘
ラグビーワールドカップ2023は4週目に入り、プール戦の明暗が別れ始める中、ボルドーで行われる最後の一戦では、2007年以来4大会ぶりのベスト8進出を目指すフィジーと、初のプール戦突破を目指すジョージアが対戦。
この試合の結果如何では、大会史上初となるオーストラリアのプール戦敗退が決定するという状況でのキックオフとなった。
前半序盤は、フィジーのキックミスに乗じる形でジョージアが敵陣でのプレーを続けるなか、そのジョージアが5分にSO(スタンドオフ)ルカ・マトカヴァが好位置でのPG(ペナルティゴール)を決め、先制に成功する。
フィジーはその後も連続してラインアウトでのスチールを許すなど、ムラのあるプレーを続け、相手に付け入る隙を与えながらも、徐々に集中力を高め、プレーの精度を上げ始める。
しかし、自陣に押し込まれ始めたジョージは、19分にWTB(ウィング)ダヴィト・ニニアシヴィリが、57mのPGを決め、少ないチャンスを生かして、6-0とリードを広げる。ジョージはこの後、自陣ゴールライン付近まで攻められながらも無失点でピンチを切り抜けると、31分にまたもニニアシヴィリが距離のあるPGを決め、9-0とする。
前半はその後、互いにトライを匂わせるプレーで、スタンドを沸かせる見せ場を作るもトライは奪えず、ジョージアの9点リードでハーフタイムを迎えた。
反撃に転じたいフィジーは後半開始早々の1分に、攻撃のキーマンであるWTBセミ・ランドランドラにイエローカードが提示され、数的不利を強いられる苦しい展開となる。
だが、14人でプレーする中、敵陣のラインアウトでのスチールを皮切りにアタックを仕掛け、11分のCTB(センター)ワイセア・ナヤザレヴのトライにつなげる。この後のキックも決まり、フィジーが2点差に詰め寄る。
この後、一進一退の攻防が続くなか、フィジーは長く続いたインプレーの末にペナルティを獲得すると、ショットを選択。25分にこのPGを途中出場のSH(スクラムハーフ)フランク・ロマニが決め、ついにフィジーが10-9と逆転に成功する。
これで勢いに乗ったフィジーは、28分に持ち前の躍動感溢れるアタックからオフロードパスを受けた途中出場のWTBヴィヤナ・ハンボシがトライを奪うと、キックも決まり、17-9とリードを広げる。
リードを許しながらも互角の戦いを見せるジョージアは、試合終了間際の40分にPGを決め、5点差としてボーナスポイント圏内に詰め寄ると、ラストワンプレーで敵陣に攻め込み、一発逆転のキックをインゴールへ向けて蹴り込むも、ここはなんとかフィジーの選手がボールを蹴り出し、試合を終わらせた。
17-12で激戦を制したフィジーは勝ち点を10に伸ばし、ベスト8進出へ大きく前進。一方、ジョージは健闘しながらも1ポイントの獲得に留まったことにより、次回大会予選免除のプール戦3位確保は厳しい状況となった。