2023年10月15日日曜日

ラグビーワールドカップ2023フランス大会準々決勝

Saint-Denis Stade de France 収容客数81,338人(テレビ観戦)

29 - 28 SPRINGBOKS勝利

フランスで行われているラグビーワールドカップ2023もベスト8が出揃い、10月14日(土)15日(日)に準々決勝の4試合が行われる。

15日(日)、パリ近郊サン=ドニの「スタッド・ドゥ・フランス」ではプールA首位通過の開催国フランス世界ランキング3位)と、プールB2位の前回大会王者・南アフリカ世界ランキング2位)が激突する。

フランス代表ラグビー協会のエンブレム

初優勝へ向けて準備万端

開幕戦で「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表を破り、4連勝で決勝トーナメントに進出したフランス代表。3週間前、ナミビア代表戦で頬骨をケガしたキャプテンのSH(スクラムハーフ)アントワーヌ・デュポンが復帰した。

ファビアン・ガルティエHC(ヘッドコーチ)は、60-7で勝利したプール最終戦のイタリア代表戦から、先発変更はSHをマクシム・リュキュから、そのデュポンに変更したのみにとどめた。

FW(フォワード)に変更はなく、PR(プロップ)シリル・バイユ、ウィニ・アトニオ、HO(フッカー)ペアト・モヴァカでフロントローを構成。LO(ロック)がキャメロン・ウォキとチボー・フラマン、バックローはFL(フランカー)アントニー・ジェロン、シャルル・オリヴォン、イタリア代表戦のプレイヤー・オブ・ザ・マッチのNO8(ナンバーエイト)グレゴリー・アードリッドの3人が務める。

BK(バックス)はSHデュポンとSO(スタンドオフ)マチュー・ジャリベールのハーフ団、CTB(センター)はジョナサン・ダンティとベテランのガエル・フィクーの2人、バックスリーは20歳のWTB(ウイング)ルイ・ビエル=ビアレと、現在6トライでトライランク首位に立つダミアン・プノが両翼を担い、FB(フルバック)には61点で得点ランキングトップのトマ・ラモスが引き続き入った。

リザーブには、FWを6人入れ、HOピエール・ブリガリット、PRレダ・ワーディ、ドリアン・アルデゲリ、LOロマン・タオフィフェヌア、FLフランソワ・クロス、WTBでもプレー可能なFLセク・マカルー、SHリュク、ユーティリティBKのヨラム・モエファナが控える。

ガルティエHCは「こういう試合の前はいつも緊張する。緊張を感じないと言ったら嘘になる。それこそが、この瞬間を特別なものにしている。私たちはこの瞬間を最大限に生かし、ともに楽しみ、喜び、幸せ、そして決意を持って前に進もうとする」。

「南アフリカが、世界チャンピオンである理由は非常に洗練され、よく考えられた戦術的アプローチを持っているからだ。彼らは常に戦略を考え、対戦相手との関係で非常によく練られたプランを立てる。南アフリカは私たちのことをよくわかっている」。

「数人の選手を入れ替え、5-3のフォーメーションを選択した彼らの決断は、戦術的、戦略的、そしてよく考えられたものだ。チェスの試合だ。このような試合の準備は、極限まで高められた戦略のレベルだ。完璧だ」と意気込んだ。

ベンチをFW6人、BK2人とした理由を「戦術的には、多くを語るつもりはない。セクーに関しては、私たちがさまざまな手段を引き出せるようにするためだ。パワー、スピード、インパクト、そして空中戦での存在感を維持する必要がある。我々には、組織を根本的に変えることなく、さまざまなオプションをカバーできるファーストチョイスの選手が何人もいる」と答えた。

復帰となるキャプテンのSHデュポンは「ケガをした当時は、どれほど深刻なものかわからなかった。大会は終わったと思っていた。だが、回復は順調だった。今日、僕は完全な状態にある。最も重要だったのは、自分のことよりもチームのことを考えることだった」。

「もし、僕がプレーできなかったら、マッシム(リュキュ)か、バティスト(・クイユー)が最高の形で務めていただろう。彼らはチームのことをよく理解しているし、そういう瞬間を迎えるためにみんな努力している。その点では特にプレッシャーは感じなかった。国際試合は常にタフだ。自分たちが望むことを達成するためには、苦しむ覚悟が必要だ」と語気を強めた。

フランス代表としては、ホームの大声援を背に、相手の大きなFWを背走させつつ、相手陣で戦う時間を増やし、得点を重ねてプレッシャーをかけていきたい。

SPRNGBOKS

連覇に向けてベストメンバーで臨む

一方、南アフリカ代表は、アイルランド代表に8-13と接戦で敗れたものの、他の3試合は危なげなく勝利し、準々決勝に駒を進めた。ジャック・ニーナバーHCは、プール最終戦のトンガ代表戦から11人の先発を入れ替え、アイルランド代表戦とほとんど同じ先発メンバーで構成した。

PRスティーヴン・キッツォフ、フランス・マルハーバ、HOボンギ・ンボナンビの3人が第1列を担う。LOは3戦連続の先発となるエベン・エツベスと、三重ホンダヒートでプレーするフランコ・モスタートの2人。FLはキャプテンのシヤ・コリシピーター ステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)、NO8はトンガ戦ではFLでプレーしたドウェイン・フェルミューレンが務める。

BKを見ると、ハーフ団はSHコーバス・ライナーとSOマリー・リボックのコンビ。CTBはダミアン・デアレンテ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と、ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)と日本でプレーする2人が入った。WTBは大会後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビとカート リー・アレンゼ、FBはダミアン・ウィレムセが入った。

ベンチにはFW5人、BK3人の構成となった。HOは38歳のデオン・フォーリー、PRオックス・ンチェとヴィンセント・コッホ。LOはRG・スナイマン、FLクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)。BKはSHファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、SOハンドレ・ポラード、FBウィリー・ルルー(元ヴェルブリッツ)が控える。

ニーナバーHCは「最も勝利のチャンスがあると思われるメンバーを選んだ。フランスに弱点はあまりない。少し違うのはキックゲームだ。彼らはボールを持ってプレーすることを好まない。彼らはプレッシャーをかけ、私たちにミスをさせようとする。だから、それを回避する戦略を見つけなければならない」。

「セットプレーを見れば、彼らはボールを奪い、Xファクターを持っている。80分間あきらめずにプレーしてくるチームだ。この特別な試合では、ドウェイン(・フェルミューレン)が必要だと感じているし、日曜日に勝利を得るために何が必要かを考えている」と話した。

また、注目された10番の起用に関しては「(SOの)ポラードは徐々に出場時間を増やす必要があるし、リボックは今、我々の10番で彼が先発して、チームは結果を残している」と説明した。

キャプテンのFLコリシは、「(ホスト国と戦うのは)もちろん、ビッグゲームであることは誰もが知っている。日本でも経験したことがあるし、難しいことだ。でも、私たちはお互いに強さを見出しているし、故郷では6500万人が私たちを応援してくれていることを知っている」。

「コーチングスタッフは様々なシナリオを想定してプランを立ててくれたが、選手としてはあまり変わらない。プール戦と同じだ。トンガに勝たなければ、今日ここにいない。チームの90%は前回のワールドカップでプレーしている。言い訳はできない」と言葉に力を込めた。

南アフリカ代表としては武器であるセットプレー、接点で優位に立ちつつ、相手のキッキングゲームにも対応していきたいところ。ベンチメンバーにも経験ある選手が揃っているのも強みとなろう。

両チームは1913年に初めて対戦して以来、45戦を行い、フランスの12勝27敗6分だ。2018年までは南アフリカが7連勝中だったが、直近3試合は接戦が多く、昨年11月に行われたテストマッチではフランスが、マルセイユで30-26と勝利している。なお、ワールドカップでの対戦は、スプリングボクスが、19-15で勝利した1995年の南アフリカ大会の準決勝以来2試合目となる。

悲願の初優勝を伺う開催国のフランス代表か、連覇を狙うフィジカルチームの南アフリカ代表か。どちらかがトーナメントから去ることになる激戦必至の注目カードは、10月15日(日)午後9:00(日本時間16日午前4:00)にキックオフされる。

開催国の夢を前回王者が打ち砕く

10月15日(日)、ラグビーワールドカップ2023の準々決勝の4試合目が行われ、パリ近郊サン=ドニの「スタッド・ドゥ・フランス」ではプールA首位通過の開催国フランス世界ランキング3位)と、プールBで2位の前回大会王者・南アフリカ世界ランキング2位)が激突した。

両チームの過去の対戦成績はフランス代表の12勝27敗6分。2018年までは南アフリカが7連勝していたが、昨年11月にはフランス代表が30-26と勝利している。なお、ワールドカップでの対戦は南アフリカ代表が、19-15で勝利した1995年の南アフリカ大会の準決勝以来2試合目となった。

4連勝で決勝トーナメントに進出した準優勝3回のフランス代表。3週間前、ナミビア代表戦で頬骨をケガしたキャプテンのSH(スクラムハーフ)アントワーヌ・デュポンが復帰。それ以外のメンバーは、60-7で勝利したプール最終戦のイタリア代表戦からデュポンに変更したのみにとどめた。

FL(フランカー)シャルル・オリヴォン、イタリア代表戦のPOM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)NO8(ナンバーエイト)グレゴリー・アードリッド、SO(スタンドオフ)マチュー・ジャリベール、現在6トライでトライランク首位に立つダミアン・プノがWTB(ウィング)を担い、FB(フルバック)には61点で得点ランキングトップのトマ・ラモスらが引き続き先発する。ベンチはFW6人、BK2人で構成した。

一方、4度目の優勝を目指す「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表は、予選プール初戦でアイルランド代表に8-13と接戦で敗れたものの、他の3試合は危なげなく勝利し、準々決勝に駒を進めた。プール最終戦のトンガ代表戦から11人の先発を入れ替え、アイルランド代表戦とほとんど同じメンバーを組んだ。

キャプテンのFL(フランカー)シヤ・コリシを筆頭に、LOにはフランコ・モスタート(三重ホンダヒート)、FLピーター ステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)、司令塔はSOマリー・リボック、CTBはダミアン・デアレンテ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と、ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)のコンビ、WTBは大会後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビが入った。

ベンチにはFLクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)、SHファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、追加で招集されたSOハンドレ・ポラード、FBウィリー・ルルー(元トヨタヴェルブリッツ)ら、前回大会で優勝を経験した選手が入った。

前半は予想に反して、トライの取り合いとなった。前半5分、いきなり開催国の「レ・ブルー」に好機が訪れる。4分、相手陣22mのラインアウトからモールを押し込み、最後はSHデュポン、WTBプノーとクイックハンズでつなぎ、PR(プロップ)シリル・バイユが右隅にトライ、FBラモスがゴールを決めて、7点を先制する。

前半9分、南アフリカ代表もハイパントキックで崩し、こぼれ球をWTBカートリー・アレンゼが拾って、そのまま右中間にトライ。SOリボックがゴールを決めて、7-7の同点に追いつく。18分にも、再びハイパントキックから崩し、CTBデアリエンデがゲインし、ラックの後、SHコーバス・ライナーからパスを受けた、CTBデアリエンデが押さえて12-7とリードした。

22分、フランス代表もSHデュポン中心にアタックを仕掛けてゴール前まで攻め込み、相手の反則後、SHデュポンがクイックタップから、HO(フッカー)ペアト・モバカがトライ。しかし、FBラモスのコンバージョンキックは南アフリカのWTBコルビがチャージし、12-12の同点でフランスの勝ち越しはならなかった。

26分、南アフリカ代表はターンオーバー後、CTBクリエルがグラバーキック、そのボールをWTBコルビが拾ってトライ。19-12と再びリードしたが、31分、フランス代表が相手陣奥のラインアウトのチャンスを得て、サインプレーから攻め込み、最後はラックサイドをPRバイユが右中間に2本目のトライを挙げて、19-19の同点に追いついた。

前半終了間際、南アフリカ代表LOエベン・エツベスが危険なタックルで、シンビン(10分間の途中退場)となり、フランス代表はそのペナルティから得たPG(ペナルティゴール)をFBラモスが沈めて、22-19と3点リードして折り返した。

後半は一転、膠着した状態が続くゲーム展開となった。数的有利だったフランス代表だが、得点を重ねることができない。ようやく試合が動いたのは14分だった。相手の反則から、フランス代表FBラモスが右中間からPGを決めて25-19とリードを6点差に広げる。

その後、互いにベンチメンバーを投入すると、南アフリカ代表はスクラムで優位に立つ。キックで攻め込み、相手陣奥で反則を得る。タップで攻め込み、最後はLOエツベスが力強いランで、インゴールにボールをタッチダウン、途中出場のSOポラードがゴールを決めて、26-25で逆転に成功。さらに29分、53mのPGをSOポラードがしっかり沈めて、リードを4点差に広げる。

逆転を狙うフランス代表も裏へのキックから攻め込み、32分、相手の反則を誘ってFBラモスがPGを決めて、28-29と1点差に迫る。34分には、南アフリカ代表がモールを押し込んだ後、WTBコルビがDG(ドロップゴール)を狙うが外れる。さらにフランス代表が22mドロップアウトをダイレクトタッチにしていまい、南アフリカ代表が相手陣で攻める時間が続くが、得点を挙げることができなかった。

残り時間2分あまり、ホームの大声援を背に、フランス代表はスクラムを起点にアタックを継続するが、最後は相手の激しいディフェンスの前にノックオンでノーサイド。南アフリカ代表が1点差で勝利を収めた。

POMにはセットプレーをリードした南アフリカ代表HOボンギ・ンボナンビが選ばれた。「素晴らしい試合だった。チーム全員の努力の賜物だ。絶えず国歌を歌い続ける満員のスタジアムで、ホストチームと戦うのは簡単なことではないことはわかっていた。1人だけではなく、チームの功績は大きい。だが、まだ2試合ある。まだ何も手にしていない。自分たちのやるべきことにフォーカスする」と語った。

自国開催の大会をベスト8で終えたフランス代表のファビアン・ガルディエHCは「私はまず、ファン、家族、そして毎日私たちを信じてくれている人々、スタッフ、選手のことを考える。私の最初の思いは彼らのためにある。今夜、フランス代表は勇気を出さなければならない。私たちは互角にプレーし、たとえフィニッシュできなかったとしても、力を発揮する瞬間があったという印象を持っている」。

「時には南アフリカが上回っていたこともあった。スタッツやデータはまだ持っていないが、良い時も悪い時も含めて、我々は彼らと互角以上に戦えたような気がする。後悔はしていない。今日のような負け方をするのは当然だ。自分たちの可能性を最大化するためにできることはすべてやったし、やり遂げた」と振り返った。

キャプテンSHデュポンは「初めてのノックアウトゲームで、激しさも内容的にもビッグゲームだったが、勝てなかった。ここから学び、経験を積んでいく。悔しさや失望はたくさんあるけれど、このような試合から学んでいきたい」と前を向いた。

クロスゲームを制した南アフリカのジャック・ニーナバーHCは、「まずはフランスに敬意を表したい。これほどタイトになることはわかっていた。大きな戦いになることは誰もがわかっていたと思う。2つのいいチームがあって、不運と幸運があって、私たちは良い方に回った」。

「勝敗を分けたのは1点だった。僅差だったと思うが、それでも最後まで粘った選手たちを称えたい。(準決勝は)素晴らしい挑戦になると思う。いいチャレンジになると思うよ。ノックアウトの試合は何が起こるかわからない。イングランドがリードしていたのに、フィジーが盛り返し、さらにフィジーも最後まで追い詰めた。最後まで僅差の勝負になると思う」と先を見据えた。

キャプテンのFLコリシは「どれだけタフな試合になるかは分かっていた。ベンチから出場した選手たちを褒めなければならない。出場しなかった選手たちも、この試合に向けていろいろ準備してくれた。そして最も重要なのは、南アフリカの人々から私たちが受けたサポート」。

「彼らはここにいることはできなかったけど、学校で僕らのために歌ってくれたり、ビデオを見せてくれたりした。それが僕らがプレーする理由なんだ。今、ここにいる僕らの家族もそうだ。僕たちは国のためにプレーしている。このフィールドにいるのは、もう僕たちのためだけじゃない。(次の試合も)勝っても負けても、今日のような戦いを見せたい」と胸を張った。

勝利した南アフリカ代表は準々決勝に進み、10月21日(土)、スタッド・ドゥ・フランスで、同じく準々決勝に勝利したイングランド代表とファイナルをかけて争う。

投稿者

ラグビー好きの食いしん坊

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