2023年10月20日金曜日

ラグビーワールドカップ2023フランス大会準決勝

Saint-Denis Stade de France 収容客数81,338人(テレビ観戦)

44 - 6 ALL BLACKS勝利

オールブラックス

4度目の頂点へ死角なし

ラグビーワールドカップ2023は残すところ、あと4試合となった。10月20日(金)21日(土)の両日は準決勝が行われ、20日(金)は初の決勝進出を狙うアルゼンチン代表世界ランキング7位)と、4度目の優勝を目指す「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表世界ランキング2位)の南半球の2チームが激突する。

開幕戦でフランス代表に敗れたものの、順調に勝ち上がりプールAの2位で決勝トーナメントに進出したニュージーランド代表。アイルランド代表との準々決勝では、猛追するアイルランド代表に28-24で勝利し、4大会連続ベスト4を決めた。

イアン・フォスターHCはアイルランド代表戦からFW1名、BK1名の先発をそれぞれ変更した。

フロントローは変わらず、PRイーサン・デグルートタイレル・ロマックス、HOコーディ・テイラーの3人。LOは、史上初めてワールドカップで4度目の準決勝を戦う、151キャップのサム・ホワイトロックが先発に上がり、スコット・バレットとコンビを組む。

FLは大会後、東芝ブレイブルーパス東京でプレーするシャノン・フリゼルと、主将のサム・ケイン、NO8はアイルランド代表戦で、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いたアーディー・サヴェア(コベルコ神戸スティーラーズ)が入った。

BKは、SHアーロン・スミス(トヨタヴェルブリッツ)、SOリッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京)のハーフ団。CTBにジョーディー・バレットリーコ・イオアネの2人。WTBはウィル・ジョーダンと、アイルランド代表戦でメンバー外だったマーク・テレアが先発に復帰し、FBはボーデン・バレット(トヨタヴェルブリッツ)が務める。

リザーブにはHOダン・コールズがメンバー外となり、サミソニ・タウケイアホが入った。PRタマティ・ウィリアムズ、フレッチャー・ニューウェル、アイルランド代表戦先発のLOブロディー・レタリック(コベルコ神戸スティーラーズ)、FLダルトン・パパリィ、SHフィンレー・クリスティー、WTBダミアン・マッケンジー、CTBアントン・レーナートブラウンが入った。

フォスターHCは「セレクションは常に難しい。継続性とコンビネーションのバランスを取ることだ。(選手の入れ替えによって)チームのエネルギーをうまく使うことができると思っている」。

「私たちはお互いを知っているが、ワールドカップという意味ではお互いを知らない。だから、トーナメントのこの段階は、私たちにとっては未知の領域だ。私たちはアルゼンチンを大いにリスペクトしている。彼らはワールドカップで大成功を収めた歴史があり、私たちと同じレベルで、ここまで来るために素晴らしい仕事をしてきた」と話した。

準々決勝で出色の出来だったキャプテンのFLケインは、「アイルランド戦では大きなステップアップができたと思うが、先週の内容では今週は十分ではないかもしれない。だから個人としてもチームとしても、より良いパフォーマンスを発揮できるように準備してきた」。

「(ブレイクダウンは)アタックとディフェンスという2つの側面があると思う。(アイルランド戦では)何人かの選手が見事なタックルを決め、早い段階で相手を倒してくれた。ラグビーはコリジョンを制するゲームであることが多い。私たちは、この分野を本当の強みにするために懸命に取り組んできた」と腕を撫した。

ケイン主将が話すように、接点、そしてセットプレーで上回りプレッシャーをかけつつ、セットプレーおよび、崩れた状態からでもトライに結び付けたい。

番狂わせを起こせるか

日本代表と同じプールDを2位で通過し、決勝トーナメントに進出した「ロス・プーマス」こと、アルゼンチン代表。準々決勝では後半に2つのトライを奪い、29-17とウェールズ代表を下して、2大会ぶり3度目のベスト4へと駒を進めた。

マイケル・チェイカHC(ヘッドコーチ)は、そのウェールズ代表戦から先発をSH(スクラムハーフ)の交代のみにとどめた。

FW(フォワード)から見ていくと、第1列はキャプテンのHO(フッカー)フリアン・モントーヤ、PR(プロップ)はトマス・ガージョ、フランシスコ・ゴメス=コデーラの3人。LO(ロック)はギド・ペッティトマス・ラバニーニのコンビ。バックローは今大会全試合先発のFL(フランカー)ファン=マルティン・ゴンサレスと、マルコス・クレメルの2人、NO8(ナンバーエイト)には50キャップ目となるファクンド・イサが務める。

BK(バックス)は、SHは92キャップのトマス・クベリからゴンサロ・ベルトラノウに替わり、SO(スタンドオフ)サンティアゴ・カレーラスとコンビを組む。CTB(センター)が24歳のサンティアゴ・チョコバレスと、23歳のルシオ・シンティの2人、WTB(ウイング)には日本代表戦で3トライを挙げたマテオ・カレーラスと、現在51点で得点ランキング4位のエミリアノ・ボフェリ、FB(フルバック)はファン=クルス・マリアが入った。

ベンチには100キャップを超える38歳のHOアガスティン・クレービー、ウェールズ戦でトライを取ったPRジョエル・スクラビ、エドゥアルド・ベージョ、LOマティアス・アレマノ、FLロドリゴ・ブルーニ、SHラウタロ・バサン=ベレス、ベテランSOニコラス・サンチェス、CTBマティアス・モローニが控える。

チェイカHCは、「戦略についてはあまり話したくない。我々は3人のSHを毎週交替で起用しているが、我々がやりたいゲームのタイプから、ゴンサロを選んだ。ニュージーランドは強いチームだ。今年に限らず、長い間世界ナンバーワンのチームだった。彼らと対戦することが、いかにチャレンジであるか、私たちは知っている」。

「これはワールドカップであり、大会が進むにつれて、すべての挑戦が厳しくなっていく。オールブラックスは素晴らしいスクラム、モール、ラインを持っているし、ワールドカップの準決勝でも多くの経験を積んでいる。私たちはできる限りのトレーニングをし、挑戦する準備はできている」と意気込んだ。

キャプテンのHOモントーヤは「プーマスのジャージを着て、ニュージーランドや他の相手と対戦するためにピッチに立つときはいつも、どんな相手にも勝てるという自信がある。ホームで初めてニュージーランドを破ったときは、どんな気分だったかなどについて話し合ってきた。フィジカル面にはかなり力を入れてきた。試合を重ねるごとに、より良いチームになってきた。初戦以降、全てが決勝戦としてやってきた」と自信を口にした。

アルゼンチン代表としては、やはり点の取り合いでは相手に分があるだけに、武器であるディフェンスとキッキングゲームを軸に、ロースコアの接戦に持ち込みたいところ。

両者はこれまで「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」を含めて36回対戦し、オールブラックスが33勝1分2敗と圧倒しているが、2020年にはホームで25-15、昨年は敵地で25-18と、アルゼンチン代表が最近で2度勝利している。

また、ワールドカップでは過去3度対戦し、いずれもニュージーランド代表が勝っており、決勝トーナメントでの対戦は、オールブラックスが33-10で勝利した、2011年の準々決勝以来2度目だ。

ファイナルに進むのは「オールブラックス」か「ロス・プーマス」か。南半球の強豪同士のプライドがぶつかり合う注目の一戦は、10月20日(金)現地時間午後9:00(日本時間21日午前4:00)に、パリ近郊サン=ドニの「スタッド・ドゥ・フランス」でキックオフされる。

ALL BLACKSが攻守で圧倒

10月20日(金)、パリ近郊サン=ドニの「スタッド・ドゥ・フランス」で、ラグビーワールドカップ2023の準決勝1試合目が行われた。初の決勝進出を狙うアルゼンチン代表世界ランキング7位)と、4度目の優勝を目指す「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表世界ランキング2位)の南半球の2チームが激突した。

2大会ぶり3度目のベスト4に進出した「ロス・プーマス」こと、アルゼンチン代表。マイケル・チェイカHC(ヘッドコーチ)は、準々決勝から先発をSH(スクラムハーフ)の交代のみにとどめた。

W(フォワード)は、キャプテンのHO(フッカー)フリアン・モントーヤ、PR(プロップ)トマス・ガージョ、を筆頭に、LO(ロック)はギド・ペッティトマス・ラバニーニ、FL(フランカー)ファン=マルティン・ゴンサレスと、マルコス・クレメル、NO8(ナンバーエイト)には50キャップ目となるファクンド・イサが入った。

BK(バックス)はSH(スクラムハーフ)ゴンサロ・ベルトラノウが先発し、SO(スタンドオフ)サンティアゴ・カレーラスとコンビを組んだ。WTB(ウイング)には日本代表戦で3トライを挙げたマテオ・カレーラス、エミリアノ・ボフェリが入った。ベンチには100キャップを超える38歳のHOアガスティン・クレービー、SOニコラス・サンチェスらベテランが控える。

開幕戦でフランス代表に敗れたものの、順調に9度目の準決勝に進出したオールブラックス。イアン・フォスターHCは準々決勝戦からFW1名、BK1名を変更した。

キャプテンのFLサム・ケインを筆頭に、LOは史上初めてワールドカップで4度目の準決勝となった151キャップのサム・ホワイトロックが先発に上がり、NO8はアーディー・サヴェアが入った。

BKは、SHアーロン・スミス、SOリッチー・モウンガのハーフ団、CTB(センター)にジョーディー・バレット、WTBはウィル・ジョーダンと、準々決勝はメンバー外だったマーク・テレアが先発に復帰し、FBはボーデン・バレット(トヨタヴェルブリッツ)が務める。控えにはLOブロディー・レタリック、WTBダミアン・マッケンジーらが入った。

両者はこれまで36回対戦し、オールブラックスが33勝1分2敗と圧倒。ただ、この4年間で2度、アルゼンチン代表が勝利しているが、ワールドカップでは過去3度対戦し、いずれもニュージーランド代表が勝っている。

時折、小雨が降る中、オールブラックスのハカ「カパ・オ・バンゴ」の後、試合はキックオフされた。序盤はアルゼンチン代表が相手陣でボールを継続。前半5分、相手の反則を誘い、WTBボフェッリがPG(ペナルティゴール)を決めて3点を先制する。

オールブラックスもモールでプレッシャーを掛けて、11分、相手陣でチャンスを掴む。相手陣奥のラインアウトを起点にモールを押し込んだ後、ラックを連取、最後はBKに展開しWTBジョーダンが右中間にトライを挙げて7-3と逆転に成功する。さらに17分、自陣でジャッカルを決めた後、カウンターを仕掛けてボールを継続、最後はCTBバレットが右隅に押さえて12-3とリードを広げた。

その後は拮抗した状態が続き、35分にアルゼンチン代表、38分にニュージーランド代表がPGを決めて15-6とした。ロスタイム、オールブラックスがスクラムを押し込み、相手の反則を誘う。さらに相手陣22mのラインアウトからチャンスを得て、WTBテレアがゲインし、最後はSHスミス、FLシャノン・フリゼルとつないで左隅にトライを挙げ、20-6とオールブラックスがリードを広げて前半を終えた。

後半、黒衣軍団が畳みかける。1分、相手陣22m右サイドのスクラムを押し込み、NO8サヴェア、SHスミスとつないで、スミスが右端にトライ、SOモウンガのゴールも決まって27-6。さらに9分、SOモウンガが相手のギャップを突いてゲインし、最後はFWにこだわり、FLフリゼルがねじ込んで2本目のトライを挙げて34-6として勝負を決めた。

この後もニュージーランド代表は攻め手を緩めず、22分にはラインアウトから順目に攻撃し、最後はWTBジョーダンがトライ(39-6)。アルゼンチン代表は何とか1本返そうと攻め込むが、最後まで黒い壁を崩すことができなかった。

25分、オールブラックスはLO スコット・バレットがイエローカードを受けて数的不利になったもの、33分、ラインアウトからWTBジョーダンがゲインし、自ら蹴ったボールをキャッチし、ハットトリックとなる3本目のトライを挙げて44-6とし、ノーサイドを迎えた。ニュージーランド代表がセットプレーでプレッシャーを掛け、攻めては7トライ、守っては相手をノートライに抑えて5度目となる決勝に進出した。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には攻守で光ったCTBジョーディー・バレットが選出。「とても素晴らしい。このグループにとっては新しい境地だ。私たちは4年前、準決勝の壁にぶつかった。このグループを誇りに思う。まだ終わったわけじゃない。来週の相手が誰であろうと、とてもタフな試合になる」)。

悲願の決勝進出は、またも叶わなかったアルゼンチン代表のチェイカHCは「選手たちは国のため、ファンのため、アルゼンチンの人々のために勝ちたかった。残念だ。チームはベストを尽くしてくれた」。

「ラックとスクラムでやるべきことができなかった。前半終了前に何度かあった重要なスクラムでは、いいポジションを取れていたのに、ボールを失ってしまった。ポゼッションを失い、トライを奪われた。同じことが後半の最初にも起こった。ニュージーランドのようなチームに対しては、わずかなミスが命取りになる。彼らはとても効率的で、我々のミスをすべて得点に変えてきた」と振り返った。

さらに指揮官は「悲しい瞬間ではなく、チームにとって誇らしい瞬間だ。私たちはワールドカップの準決勝にいた。まだ終わっていない。メダルを持って帰りたい。だから来週は僕らにとって大きな意味を持つ。決勝に行って何かできると、本当に思っていたから辛いが、今夜を乗り越えなければならない。ここから学んでまた強くなる」と3位決定戦に向けて前を向いた。

HOモントーヤ主将は「オールブラックスはセットプレー、スクラムで完全に支配していた。チャンスがあれば必ず得点する。彼らは信じられないようなチームで、今日は断トツでベストチームだった」。

「今日の我々は、見せたかったレベルにはほど遠い。打ちのめされているし、本当にがっかりしている。決勝でプレーするという夢は終わったが、まだやるべきことがある。今は本当に心が痛いが、僕らにはまだ戦うべきものがある。遠くから来てくれたファンのため、アルゼンチンのすべての人のため、来週は最高の形で終わらせる」と語気を強めた。

2015年大会以来の決勝進出となったオールブラックスのフォスターHCは、「ワールドカップの準決勝では、勝つことが目標だった。タフな戦いだった。アルゼンチンは試合の最初から激しく、我々に大きなプレッシャーをかけてきた。決勝は自分の仕事を楽しまなければならない」。

「私たちにとって、高いレベルで試合を遂行することが目的。そうすることで、チームは大きな誇りを持つことができる。トーナメントを戦い抜くには、それを楽しまなければならない。このグループの一員であることを誇りに思うし、コーチ陣も選手たちとうまくリンクしていて、いい相乗効果が生まれている」。

「だが、あと1週間残っている。明日の準決勝はポップコーンを食べながら観るよ(笑)。でも、どっちが勝とうが関係ない。私たちは自分たちのことに集中しているし、1日増えたことで精神的に一息つける。南アフリカは素晴らしいラグビーを見せてくれているが、イングランドも静かに成長している。スタイルの対比が興味深い」と話した。

キャプテンのFLケインは「いいスクラムを組み、いいドライブをしたかった。ハーフタイム直前のスクラムのペナルティで相手陣内に攻め込み、得点できたのは大きかった。この努力には本当に満足しているし、次もこのように戦いたい」。

「僕は先週、歴史的に見てもディフェンス面でトップクラスのチームがワールドカップで優勝することになると言った。僕たちのチームには、特にそのことに熱心な選手が何人かいるから、かなり強いと思う」とファイナルに向けて自信をのぞかせた。

アルゼンチン代表は銅メダルをかけて、10月27日(金)の3位決定戦を戦う。4度目の栄冠を目指すオールブラックスは、28日(土)にファイナルを迎える。

投稿者

ラグビー好きの食いしん坊

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